
国内外の異なる部署で取材する24人の記者が交代で手がけるコラム。原則、毎日1本お届けします。
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韓国 わが心の換気扇=鈴木琢磨(オピニオン編集部)
2023/10/2 06:00 1881文字ずっと韓国を旅してきました。初めての渡韓は大学で朝鮮語をかじっていた1979年のこと。まだ朴正熙(パク・チョンヒ)政権の時代、午前0時以降は外出禁止で、ちょっとドキドキしたものです。YOUは何しに韓国へ? そう問われると、自分でも正直、よくわかりません。かつては、文字通り、百聞は一見にしかず、とか
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ごちゃまぜバンドが伝えたもの=銭場裕司(東京社会部)
2023/10/1 06:00 1909文字認知症のある人もそうでない人も一緒になって音楽を届ける「3丁目バンド」が9月、横浜市でライブを開いた。ゲストを含め20人を超えるメンバーがステージに上がり、認知症のある本人らから事前にリクエストを受けた11曲のセットリストをやり遂げた。さまざまな人たちがともに練習を重ねて本番を迎えたごちゃまぜバン
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非正規公務員 深刻なハラスメントの実態=牧野宏美(デジタル編集本部)
2023/9/29 06:00 1966文字約7割がハラスメントや差別を経験し、その影響で多くが体調が悪化したり仕事に支障が出たりして、4人に1人が退職や休職に追い込まれた――。 今年4~6月、非正規公務員らでつくるグループ「VOICES(ヴォイセズ)」が非正規公務員や経験者を対象に行った調査(有効回答531人)で、こんな深刻な実態が浮かん
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こだわりの先に=貝塚太一(北海道報道部写真グループ)
2023/9/28 06:00 967文字北海道小樽市から稚内市までの日本海沿岸を走る約320キロの道は「オロロンライン」と呼ばれ、最北端を目指す絶景ロードとしてドライバーやライダーに人気だ。その道中にある「道の駅」に立ち寄ると、沿岸の市町村を紹介した手描き風の地図に目を奪われる。 開くとA3判サイズになる地図を手に町を歩くと、そのリアル
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NOと言った捕虜=國枝すみれ(デジタル報道グループ)
2023/9/27 06:00 2013文字「米国の一般大衆に対し、放送を通じて、無益な戦争を止めることを呼びかけたい。協力してくれるか」 1943年12月、日本軍が接収した東京・駿河台の専門学校「文化学院」の中庭で、陸軍参謀本部で宣伝を担当する恒石重嗣(つねいし・しげつぐ)少佐が捕虜に語りかけた。 プロパガンダ放送「日の丸アワー」への協力
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電車が混雑 それでも減便は必要か=川上晃弘(東京社会部)
2023/9/26 06:00 1618文字電車の混雑が少しずつ目立つようになってきた。通勤ラッシュの時間帯となれば、駅やホームには人があふれ、車内は乗客でぎっしり埋まる。 データを確認してみると、東京圏における通勤通学時の平均混雑率(2022年度)は123%で21年度より15ポイント高かった。大阪圏は5ポイント増の109%、名古屋圏も8ポ
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お酒の「Jカーブ」は本当か=下桐実雅子(くらし科学環境部)
2023/9/25 06:00 1931文字お酒はどちらかといえば好きな方だ。中年になって控えめにするよう心掛けてはいるが「ほどほどのお酒は体にいい」と聞いている。昔から「酒は百薬の長」とも言われる。 ところが、雲行きが怪しくなってきた。近年、これらに否定的な研究結果が出ており、先日、米国心臓協会が「少量でも飲み続けると血圧が上がる」という
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立ち上がったイランのおじさんたち=和田浩明(川崎支局)
2023/9/24 06:00 1727文字おじさんたちは、その日もやってきた。16日午後、東京都内のイラン大使館前の交差点。明治通り沿いの狭い歩道に並んで抗議の声を上げる約150人ほどの老若男女に交じって、参加者と熱心に言葉を交わし、道行く人々が通り抜けられるよう気を配る。 この日の抗議活動の目的も、これまでと同じだ。ちょうど1年前イラン
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ドムドム好調 率いるのは元109店長=赤間清広(東京経済部)
2023/9/22 06:00 2515文字9月に入り、今年も大手ハンバーガーチェーンによる「月見戦争」が始まった。卵を使ったバーガーの味を競う光景はもはや風物詩となっているが、我関せずと独自色を貫く会社がある。「ドムドムハンバーガー」だ。 ドムドムが16日から期間限定で発売したのは「丸ごと‼カニバーガー」。カラッと揚げた高級食材ソフトシェ
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「ぽっかり」と「中ぶらりん」=倉沢仁志(東京運動部)
2023/9/21 06:00 1642文字目の前でアスリートの息づかいを感じ、汗や涙の裏側にある苦悩や努力、胸の内に迫る――。日々の取材を通じ、そうした場面に遭遇している。スポーツ記者の魅力の一つと言えるかもしれない。 一方で、ある問題が生じると、一気に気分が重くなる。その不正行為はスポーツの価値を根幹から損ねる。ドーピングのことだ。 つ
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「死」がすぐ隣に 山伏修行ルポ=花澤茂人(大阪学芸部)
2023/9/20 06:00 2277文字一歩間違えれば、死。文字通りそんな経験だった。 9月初め、修験道の聖地・大峯山(奈良県)での山伏修行に参加した。ふもとの洞川(どろがわ)温泉(奈良県天川村)から山上ケ岳(標高1719メートル)山頂付近にある大峯山寺までを往復し、その間の「行場」と呼ばれる難所を乗り越える行。日常では味わうことのない
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いつまでも「くるりんぱ」 ツッコミで弔う=生野由佳(デジタル報道グループ)
2023/9/19 06:00 2719文字2022年5月に急逝したダチョウ倶楽部の上島竜兵さん(当時61歳)の映像がテレビで度々流れ、メンバーの肥後克広さんや、上島さんを慕う芸人仲間「竜兵会」がその死を話題にし、笑いに変えている。 「くるりんぱ」「絶対に押すなよ」などのギャグで人気を集めた上島さん。出演者の表情からは、笑顔の中に悲しみや悔
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もう一つの「福田村事件」=隈元浩彦(熊谷支局)
2023/9/18 06:00 3123文字大正十二(1923)年九月二日 やがて鮮人騒擾(そうじょう)の報が伝わり始めた。曰(いわ)く鮮人が爆弾を投擲(とうてき)する為(ため)にかく大火となったと云(い)ふ(略)など虚伝頻々として伝わる(当時は事実としか思へなかった) 九月五日 逃亡鮮人惨殺の報が頻々として来る、不時に際して人心の真を知る
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「愛玉子」日台つなぐ新たな「味」に=鈴木玲子(外信部)
2023/9/17 06:00 2774文字つるっとしたゼリーのような喉越しは、作家の池波正太郎にも愛された。その台湾スイーツの原料となる植物「愛玉子(オーギョーチ)」の学名をつけたのが、植物学者の牧野富太郎(1862~1957年)だ。台湾では屋台などで「愛玉」や「愛玉凍(ゼリー)」「愛玉氷」とも書かれて売られている。牧野をモデルにしたNH
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沖縄の「島ぐるみ」は過去の話!?=鈴木英生(オピニオン編集部)
2023/9/15 06:00 2476文字「島ぐるみ」は、昔も今も沖縄が反基地運動などで団結する際の決まり文句だ。だが実は、その中身は半世紀も前に失われていた――。そんな挑発的な議論を、東京在住の沖縄史研究者兼地域政策コンサルタント、古波藏契(こはぐら・けい)さん(33)が、初の単著「ポスト島ぐるみの沖縄戦後史」(有志舎)でしている。本書
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エイサーと米軍統治=喜屋武真之介(写真部兼那覇支局)
2023/9/14 06:00 966文字沖縄では旧盆の時期になると、あちこちから先祖供養の踊り「エイサー」の太鼓と指笛の音が聞こえてくる。激しい動きとともに大太鼓などを打ち鳴らす姿を思い浮かべる人も多いと思うが、「太鼓エイサー」が定番となった背景に戦後の米軍統治も関係していることをご存じだろうか。 エイサーは主に各地域の青年会により受け
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ニューヨークで考える神宮外苑再開発=八田浩輔(NY支局)
2023/9/13 06:00 1644文字「木は気候変動に対する最もシンプルで明快な解決策の一つです」 そう語るのは、米国最大規模の環境NPO「ネーチャーコンサーバンシー」のニューヨーク支部を率いるビル・ウルフェルダーさん。大学院で森林管理学を専攻した専門家で、800万人以上が暮らすニューヨーク市に「緑の日傘」を広げる官民プロジェクトの仕
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70年後に認められた加害の歴史=日下部元美(ソウル支局)
2023/9/12 06:00 2758文字韓国南部・麗水(ヨス)は美しい海が見渡せる観光都市だ。豊臣秀吉が朝鮮出兵した「文禄・慶長の役」で日本軍を打ち破った李舜臣(イスンシン)将軍が戦いの拠点にした地としても知られる。私は韓国に語学留学中だった2020年12月、友人と初めて訪れた。 年末年始だったので海鮮料理を楽しんだり、海沿いのカフェで
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甲子園4強の土浦日大に見た木内マジック=堀井泰孝(古河通信部)
2023/9/11 06:00 2848文字「エンジョイベースボール」の慶応(神奈川)が全国制覇を達成した夏の甲子園。のびのび野球で注目された土浦日大(茨城)も初のベスト4入りを果たした。監督の小菅勲(56)は「新しい歴史を作った。感謝しかない」と、準決勝で敗れ泣き笑いをする選手を笑顔でたたえた。その笑顔は「木内マジック」で他校に恐れられた
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元慰安婦碑の撤去を巡る「公共美術」論争=堀山明子(外信部)
2023/9/10 06:00 2552文字韓国ソウルの市街を見渡せる南山の一角に、「記憶の場」という元慰安婦の追悼碑が置かれた広場がある。9月5日早朝、ソウル市がクレーンで碑を砕き、わずか2時間で撤去するという衝撃的な出来事が起きた。碑を設計した民衆美術運動をリードする作家が8月、セクハラ訴訟の1審で有罪判決を受けたため、「社会的に物議を
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