全国制覇15回の伝統校が、ついに復活を果たした。第89回全国高校ラグビー大会県予選(県高体連など主催、毎日新聞秋田支局など後援)は31日、秋田市の市営八橋球技場で決勝があり、秋田工は3連覇を目指した秋田中央に競り勝って4年ぶり62回目の優勝。東大阪市の近鉄花園ラグビー場で12月27日に開幕する全国大会に出場する。【小林洋子】
バックスが素早い展開を見せる秋田工と、FWが縦突進を繰り返す秋田中央。それぞれが持ち味を生かし、互角の試合展開となった。
10点を追う秋田工は前半終了間際、WTB南波が右隅にトライ。後半12分には得意のドライビングモールで押し込み追いついた。さらに同16分、SO村井が相手インゴールにけり込んだボールをWTB三浦が押さえ勝ち越し。その後は秋田中央の猛反撃を防ぎ切った。
秋田中央は前半、FWが相手を圧倒。ラックを起点として攻め続け、前半9分にCTB鈴木大が先制トライを奪った。だが風下に回った後半はむしろ押される展開となり、ゴールライン間際まで攻め込む好機もトライに結びつけられなかった。
激しいぶつかり合いが続いた試合を象徴するかのように、左目のまぶたが腫れ上がった秋田工ロックの山田康平選手(3年)。試合開始のキックオフでボールを受け止めた相手主将にタックルした際のけがで、しばらく意識がもうろうとしていた。完全に回復したのは後半に入ってから。だが「痛くても苦しくても、ここで抜けて悔いを残すよりもやり通したい」という思いと、仲間から「がんばろう」と背中を押され、グラウンドを走り続けた。
バックス陣の左右への展開が目を引いた秋田工だが、秋田中央の攻撃を粘り強く食い止めた山田選手らFW陣の守りも大きな勝因だった。「みんな仲がよくて一体感がある。今日もここぞというときに踏ん張ることができた」と胸を張る。
名門も4年ぶりの花園となり、経験者はいない。「自分たちの年こそはと意気込んでいた。走り負けず、相手をあおむけにさせるくらいのタックルができるようがんばりたい」と力を込めた。
▽秋田工
どちらが勝つにしても壮絶な接戦になると思っていた。ここまで本当に長かった。秋田工復活に向けて今日がスタート。FWをさらに強化し、花園で思いっきり暴れさせたい。
後半のモールからのトライで、一人一人の気持ちが変わった。(花園に行けなかった)先輩の分も全国でがんばりたい。FWがバックスにいいボールを提供し、アップテンポのゲームをしたい。
▽秋田中央
キックで敵陣に入りフォワードで攻めていけると思ったが、思ったより相手の守備がうまかった。選手はよく頑張ったが、力をうまく発揮させてやれなかった。花園に連れて行けず申し訳ない。
力では上だったと思うが、紙一重の差で負けてしまった。ゴール前1メートルくらいまで迫ったあの場面で決めていれば優位に立てると思った。やりきれない気持ちで悔いが残る。
ノーサイド。泣き崩れる仲間の肩をたたき、声をかけて回った。「おれがしっかりしないと。リーダーってそんなもの」。あふれそうになる涙を、澄み切った青空を見上げるようにしてこらえた。
逆転されても、負ける気はしなかった。左ひざを負傷し一時グラウンドに倒れ込んだが、「ラグビーは弱い気持ちが出たら負け」と思い、最後までボールを追った。
2勝を挙げた昨年の花園にも出場。学校初となる3年連続の進出を目標に練習してきた。「あのメーングラウンドのピッチに立つと、気持ちの高ぶりが違う」。それだけに、全国の舞台をチームや後輩に味わってもらいたかった。「あそこに帰って、昨年の全国16強以上の記録を出してほしい」と後輩に期待を込める。
試合後、ミーティングの最後に「お前ら、本当に頑張ったんだから泣くんじゃねえ」と叫んだ。そして何度か目頭をぬぐった。そんな主将をねぎらうように、仲間がグラウンドで高々と胴上げをした。【坂本太郎】
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▽決勝
秋田中央 反6
1 1 1 0 10 0 0 0 0 0 10
T G P D 前 T G P D 後 計
1 0 0 0 5 2 0 0 0 10 15
秋田工 反5
毎日新聞 2009年11月1日 地方版