仙北市角館町で農業を営む津嶋二郎さん(70)、百合子さん(70)夫妻は、県外の中学生などを対象に農業体験の受け入れを始めて約30年。訪れた子供や家族との温かい交流が続いている。【野原寛史】
津嶋さんは約1ヘクタールの水田や畑で農業を営む傍ら、近隣の農家と共にわらび座などを通じて県外の中高校から修学旅行などでの農業体験を受け入れてきた。
当初は作業量も多く「人手もいるし、農業を体験しながら手伝ってもらえれば」と考えていたという。
現在は関東地方などから毎年5、6人の生徒が数組、津嶋さん宅を訪れている。津嶋さんは「一生懸命やった後の達成感を学んでもらえれば」との思いで、米の刈り取りやサツマイモの収穫、豆のさや取りなどの体験をしたり、近くにある抱返り渓谷など首都圏の子供には縁の薄い豊かな自然と四季を楽しませてきた。
「都会の子供たちは、最初大きな虫を見て驚いたり、田んぼに入ってはしゃいでいる」が、作業を通じて「みんな一生懸命取り組んでくれる。何年たっても、子供の純粋さは変わらない」という。
9月に3日間訪れた和光中(東京)の生徒の保護者からは、お礼として宮城県加美町だけで伝統的に栽培されている「小瀬菜大根」が届いた。津嶋さん夫妻は「こんなことは初めて。これからも続けていきたい」と交流の深まりを喜んだ。
仙北市観光課によると、農業体験の希望者は増えており、同市と周辺自治体には年間約5000人の子供たちが訪れる。一方で津嶋さんの周辺地域では農作業の機械化や高齢化が進み、受け入れ数は少なくなってきている。
津嶋さん夫妻は共に古希を迎えた。「みんな素直な子で、自分の子供みたい」と百合子さん。元気のもとになる生徒たちの来訪と、その後も続く交流を楽しみにしている。
毎日新聞 2009年11月10日 地方版