29日明らかになった津市と松阪市を結ぶJR名松線の一部区間の廃止方針。JR東海が家城駅(津市白山町南家城)-伊勢奥津駅(津市美杉町奥津)の運行を取りやめ、バス輸送へ移行する考えを説明したが、突然の発表に沿線自治体や地元住民などの関係者からは「観光に大打撃だ」「ぜひ考え直してほしい」などと困惑や残念がる声が聞かれた。【福泉亮】
津市羽所町のJR東海三重支店で記者会見した近藤邦弘・三重支店長と河原崎宏之・鉄道事業本部管理部長は廃止について経緯を説明。「周辺道路が改良され、これからも安全で安定した輸送が提供できる」とバス輸送への移行について理解を求め、「コスト削減ではない」と強調した。
これに対し、沿線自治体は納得できないとの立場。津市の松田直久市長は「非常に残念に思います。美杉地域にとっては、名松線は生活に欠かせない交通機関で、将来のまちづくりの基盤として不可欠のもの。全線の復旧に向けて今後も要望して参りたい」とのコメントを出した。
一方、地元住民からは驚きと、存続を求める声が相次いだ。伊勢奥津駅近くにある伊勢本街道の観光ボランティアを務める津市美杉町川上の坂本偉さん(70)は「寝耳に水で途方に暮れている。来年は名松線開通75周年で、それに合わせたイベントなどを企画している。名松線が一部でも廃止されるとなれば観光に大打撃。名松線が全線にわたって存続するよう署名活動を始めたい」と困惑気味。
また、名松線に魅せられ、15年前から名松線の写真を撮り続けている津市鳥居町、写真店経営、長谷茂さん(67)は「家城駅から伊勢奥津駅が景色が最も素晴らしいところ。電車が走らなくなるのは悲しいし、残念」と肩を落とした。
〔三重版〕
毎日新聞 2009年10月30日 地方版