大和郡山市で昨年6月、男性会社員(当時51歳)が殺害された事件で、殺人罪に問われた長男(19)の判決が13日午後1時10分から、奈良地裁(石川恭司裁判長)で言い渡される。検察側は懲役5年以上10年以下の不定期刑を求刑。弁護側は、長男が特定不能の広汎性発達障害で、治療的な処遇が必要として、奈良家裁への移送を求めた。処罰、更生のいずれを重視するか、奈良地裁の判断が注目される。【高瀬浩平】
起訴状によると、長男は昨年6月27日午前2時50分ごろ、自宅居間で、おのやサバイバルナイフで父親の頭などを切りつけ、失血死させたとされる。
長男は昨年4月ごろから職場を無断欠勤し、自室に閉じこもりがちになった。公判では、検察側が「自殺しようとしたが死ねず、逆に人を殺すことを考えた」と指摘。動機の解明が最大の焦点だったが、長男は被告人質問で「自殺を考えなくてもすむから」などと述べただけだった。
弁護側の請求で精神鑑定した結果、長男は特定不能の広汎性発達障害と妄想性障害と診断された。今年9月、鑑定人は公判で「(父親を殺害する)シミュレーションに没頭することで、葛藤(かっとう)から逃れられると考えるようになった」などと説明した。
長男の内面について、検察側と弁護側の主張は対立。検察側は論告で「独善的で身勝手な発想で、動機は極めて自己中心的。殺害するために周到に準備や計画をしていた」と厳しく批判し、少年に対する不定期刑としては最も重い刑を求めた。
これに対し、弁護側は「自分が生きるためには他人を殺害しなければならないとの着想に熱中していた。結果の重大性を正しく認識できなかった」などと反論。背景に広汎性発達障害があり、刑罰ではなく、医療少年院などで治療的な処遇を受けさせるよう求めた。
最高裁によると、統計がある78~08年で、殺人罪で起訴され、少年法55条に基づいて地裁から家裁に移送された少年は10人。少年法改正(01年4月施行)により、16歳以上の少年が故意に人を死亡させた場合、原則として検察官送致(逆送)となって以降は1人もいない。
毎日新聞 2009年11月13日 地方版