08年2月3日、興福寺の追儺会(ついなえ)で青鬼を演じた。その日は普段体験できないことばかり。東金堂の舞台裏で出番を待ちながら、明かりに照らされた薬師如来坐像を拝むことができた。
舞台では、たいまつを手に「オー」と叫ぶと、カメラのフラッシュが光った。会が終わった後も「鬼さん」と記念写真をせがまれ、人気者になったように錯覚した。
ほとぼりが冷めると、被写体になったのはお面のおかげだと、当たり前のことに気付いた。「仮面」を脱げばただの人。仮面を地位や肩書に置き換えてみると、錯覚して道を踏み外す政治家や役人がいることも分からないでもない。惑わされないようにしたいものだ。(高瀬)
毎日新聞 2010年2月4日 地方版