佐渡-羽田線の航空路開設をめぐり、県が佐渡市に、予想される赤字負担への対応などについて回答を求めていることについて、同市は10日までに、赤字負担を受け入れる方針を固めた。市の負担分は初期投資で約20億円、開業後は年約2億円に上ると見込まれるが、市は12日に県へ正式に意向を伝える。しかし、市が重い負担に耐えられるかや、羽田の発着枠を確保できるかなどは不透明で、実現に向けてはなお課題が山積している。【小川直樹、磯野保】
◆滑走路延伸も必要
佐渡-羽田線は、10年の羽田空港拡張をにらみ、07年12月に泉田裕彦知事が県議会で確保したいとの意向を表明。その後、学識者を交えた検討委員会で採算などの検証を進めてきた。
県によると、開業準備の初期投資には機材購入費や空港整備費などで約61億円が必要となる。開業後も、航空需要が減少するなか、年約4億円の赤字が見込まれる。しかも滑走路を2000メートルに延伸しなければ、客数が少ない小型機しか使えず、収支改善はおぼつかないという。
こうした条件の厳しさから、既存航空会社の就航は困難とみられ、第三セクターなどで新たな運航会社を設立する案が有力だ。県議会の大勢は、県財政への影響を懸念し、空路開設には否定的な反応を示している。
◆市民生活に不可欠
12月県議会をにらみ、県は10月20日、市の意思を最終確認するため、(1)初期投資のうち、国庫補助と空港整備費を除く約42億円の少なくとも半分を市が負担できるか(2)年間赤字の半分以上を市が負担できるか(3)滑走路の2000メートル延伸に向け、9人いる地権者全員の同意を得られるか--の3点について、検討と回答を求めた。
高野宏一郎市長は9日の市議会全員協議会で「応分の負担をしたい」との考えを示した。高野市長は10日の会見でも、観光客や企業の誘致のほか、「病院で手術を行う場合、麻酔医は東京から呼ばなければならない。(島内で)出産や手術を安心してできない問題をカバーしたい」と、市民生活にとっても航空路は欠かせないと強調した。
◆発着枠の確保は?
12日に市から回答を受けた後、県は県議会と協議し、改めて事業化に向けた検討を行う。しかし、県議会の反対姿勢が覆るかは不透明だ。
また、佐渡-羽田線の発着枠を確保できるかは11年秋にも固まる方向だが、前原誠司国土交通相が羽田空港の国際拠点空港(ハブ空港)化構想を打ち出すなか、国内外で羽田枠を奪い合う形となり、佐渡線を取り巻く環境は厳しさを増しそうだ。
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■ことば
71年6月に県営空港として供用開始。滑走路の長さは890メートル。佐渡-新潟間で定期便が運航されていたが、08年10月に旭伸航空(新潟市)が撤退したのを最後に休止中。現在は民間の小型機や救急患者搬送のためのヘリコプターの発着などに使用されている。
毎日新聞 2009年11月11日 地方版