宇都宮市で04年に起きた強盗事件で、誤認逮捕・起訴された重度知的障害者の吉田清さん(58)が「宇都宮市の福祉行政が適切な処置を怠った」などとして、市を相手取り計約820万円の損害賠償を求めていた訴訟は、東京高裁で和解が成立した(22日付)。原告らは23日、県庁で記者会見し、代理人の副島洋明弁護士は「勝訴的な和解だ」と評価した。【吉村周平】
弁護側によると、和解条項は、障害者生活支援センターの機能強化▽知的・発達障害者の虐待などに対する権利擁護専門機関の設立▽成年後見制度の市の援助の強化など6項目について、市が今後改善する方向で検討するという。市が新たな制度や施策を作るためにはその都度、議会の承認や市長決裁が必要になるため、具体的時期や施策については明記されなかった。
訴えなどによると、吉田さんは当時の養父に障害者年金を横領されたり、違法な養子縁組をさせられたりしているのを、市の福祉担当者は黙認、放置していたとしていた。宇都宮地裁は08年3月に請求を棄却。吉田さんは控訴していた。
副島弁護士は「控訴審で新たに調査した結果、吉田さんだけが例外ではない証拠が見つかり(裁判には)勝てると思った」と説明。その上で訴訟の目的を「市が責任を認め、福祉制度を改善してもらうこと」として、市に和解案を申し入れたという。
佐藤栄一市長は和解を受け「今回の訴訟を教訓として、障害者の方々に常に温かい心で接することを基本とし、すべての障害者のための福祉の充実に努めていく」とコメントを発表した。
毎日新聞 2009年10月24日 地方版