アート・書
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私のことだま漂流記
/50止 山田詠美 黒田征太郎・え
2022/5/29 02:04 3285文字◇前回までのあらすじ 親しい友人の死をはじめ、これまでの人生で経験した「喪失」を、山田詠美さんは小説に昇華させてきた。「秩序を失った感情の渦に、ひとつひとつ正確な言葉を与えて、整えて行く。それが、私にとっての『書く』という行為だ」。さまざまな言霊との出合いを抱え、作家は生きて行く。 さて、宇野千代
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動く物語
今回はコレ! はるき悦巳『じゃりン子チエ』 みさき公園跡(大阪府岬町) 下町の少女の心、射抜いた海
2022/5/29 02:03 1571文字双葉社の漫画誌「漫画アクション」で1978~97年に連載された、はるき悦巳さんの「じゃりン子チエ」。故・高畑勲さん(35~2018年)が手がけた劇場版とテレビ版のアニメーション作品がある。 家業のホルモン焼き屋を切り盛りする小学5年生の少女チエと、ケンカばかりで働かない父のテツを中心とした物語。大
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日本の建築と森林、関係の変遷 海野聡准教授が新書
2022/5/29 02:03 952文字<文化の森 Bunka no mori> 私たちの身の回りには木造建築があふれている。ただ、その木材がどこで伐採され、どのように運ばれてきたのかに思いを致す人は多くないだろう。4月に出版された東京大大学院の海野聡准教授(日本建築史)の『森と木と建築の日本史』(岩波新書)は、歴史的建造物について、意
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澤田瞳子の日本史寄り道隠れ道
貴族たちと鴨川 たびたび荒ぶる聖地
2022/5/29 02:03 2366文字2024年のNHK大河ドラマが紫式部を主人公とする「光る君へ」に決定したと報じられて以来、私の周囲はどことなく騒がしい。これまでにもっとも古い時代を扱った大河ドラマは、平将門を主人公として放映された「風と雲と虹と」(1976年)。今回の作は、その次に古い時代を扱った大河ドラマとなる。 そんな紫式部
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永遠と横道世之介
/188 吉田修一 写真・王秉蒼
2022/5/29 02:03 872文字世之介がまた一人で笑っていると、台所の冷蔵庫からアイスクリームを出してきた一歩が、さらに珍しいことにちょこんと世之介の前に座る。「寒いのにアイス、それもソーダバーなんて、よく食べる気になるよな」と世之介は笑った。 一歩はソーダバーに黙って齧(かじ)りつく。 人がいるときに食堂に入ってくることなどほ
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清張の考古学、点を線に 橿考研の35歳研究員、作品内を“発掘”調査
2022/5/28 15:11 1477文字奈良県の高松塚古墳や藤ノ木古墳など歴史的な発掘調査を手掛けてきた県立橿原考古学研究所。そんな「発掘最前線」の主任研究員、絹畠歩(きぬはたあゆむ)さん(35)が、2022年8月で没後30年を迎える作家・松本清張をテーマにしたユニークな研究に取り組んでいる。論文「小説に描かれた考古学世界の理想と現実―
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『一九二〇年代モダニズム詩集』刊行 切実に言葉紡いだ50の個性 関学磁場、表現と人生紹介 詩人・季村敏夫さんら
2022/5/28 15:11 1636文字さまざまな芸術思潮が日本に入ってきた1920年代のモダニズム詩に注目したアンソロジー『一九二〇年代モダニズム詩集』(思潮社・2200円)が刊行された。編者は、神戸在住の詩人で、自身の創作と同時に近代詩の研究を続けてきた季村敏夫さんと、龍谷大講師の高木彬さん。ほぼ無名の詩人らを含む50人の詩166編
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祝福と職人技、婚礼衣装の歴史 江戸期~戦前の100点展示 奈良
2022/5/28 15:11 759文字白無垢(むく)や吉祥模様がちりばめられた打ち掛けなど、今も根強い人気を誇る伝統的な婚礼衣装。その歴史をたどる「寿(ことほ)ぎのきもの ジャパニーズ・ウェディング」展が、奈良県立美術館(奈良市)で開かれている。漆器などの調度品に比べ保存が難しい染織品にスポットを当てた、珍しい展覧会だ。 江戸時代から
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5施設統合、市立ミュージアム開館 兵庫・伊丹
2022/5/28 15:11 315文字兵庫県伊丹市の市立美術館や博物館、俳諧資料を収集する柿衞(かきもり)文庫など5施設を統合し、同市宮ノ前2の文化ゾーンに4月、「市立伊丹ミュージアム」が開館した。開催中の企画展の一つ、柿衞文庫コレクション「酒と俳諧」展の関連行事として6月1日午後4時半から「夕べの談話会」が開かれる。 話者は、同展に
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だから芸人はやめられない
2022/5/28 13:30 0文字 -
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読む写真
Photo 芸術に国境はない、はずだから
2022/5/28 13:15 1533文字「ロシアにも、ウクライナにも感謝の気持ちがある。とにかく戦争をやめてほしい」。かつてロシアの国立バレエアカデミーに留学し、現在ウクライナのバレエ団に所属する中林恭子(のりこ)さん(22)は、ロシアの侵攻で日本への帰国を余儀なくされた。新型コロナウイルス感染拡大による活動休止後、新天地でようやくつか
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清張と考古学、結ぶ「線」 橿原考古学研究所員、来月論文発表 理解深く、描写に厚み
2022/5/28 13:15 1459文字奈良県の高松塚古墳や藤ノ木古墳など歴史的な発掘調査を手掛けてきた県立橿原(かしはら)考古学研究所。そんな「発掘最前線」の主任研究員、絹畠歩(きぬはたあゆむ)さん(35)が、2022年8月で没後30年を迎える作家・松本清張をテーマにしたユニークな研究に取り組んでいる。論文「小説に描かれた考古学世界の
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水車小屋のネネ
/265 津村記久子 画 北澤平祐
2022/5/28 13:14 933文字まあ、中年の重たい期待だと思わないでほしいな、と義兄は呟(つぶや)いた。二十八歳でこの場所にやってきて、姉から水車小屋の仕事を引き継いだ義兄は、四十八歳になっていた。 水車小屋の敷地では、姉と研司とネネが待っていた。ネネは研司の肩に乗っていて、向かってくる車が義兄のものだとわかるのか、研司の肩の
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破壊された「感情のプラットフォーム」 戦禍逃れても不安際限なく
2022/5/28 12:00 3061文字ロシアの侵攻によるウクライナ難民の取材で出会ったのは、「感情のプラットフォーム」を失った人々だった。2022年3月中旬、フォトジャーナリストの小原(おばら)一真さん(36)はポーランドへ渡り、戦禍を逃れてきた人たちのインタビューや撮影を行った。戦地に家族を残してきた罪悪感や、先の見えない将来への不
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読む写真
Photo 芸術に国境はない、はずだから
2022/5/28 11:55 0文字 -
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熊本出身、大津英敏が個展
2022/5/28 06:05 290文字<土曜カルチャー> 熊本市出身の洋画家、大津英敏の個展「風景画への道’22」が福岡市中央区の福岡三越9階岩田屋三越美術画廊(大代表、092・724・3111)で開かれている。大作から小品まで約40点。 1943年生まれ。東京芸術大大学院を修了し、71年、第39回独立展で独立賞。83年、第26回安井
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みっちん大変・石牟礼道子物語
/25 萌芽/1 高群逸枝をみつけた=米本浩二
2022/5/28 06:05 2363文字<土曜カルチャー> ◆萌芽(ほうが) ◇前回までのあらすじ 石牟礼道子らはサークル村で切磋琢磨(せっさたくま)した。水俣では工場廃水の無処理放流が続いた。廃水中の有機水銀によって魚や鳥やネコが死に、人間も発病。奇病の発生である。道子の愛猫クロは「実験用動物」として捕らえられ非業の死を遂げた。 「水
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美術
未完星展(熊本県宇城市) 不知火美術館の歴史と物語ここから
2022/5/28 06:05 1388文字<土曜カルチャー> 土谷享が代表を務める現代美術ユニット「KOSUGE1―16(こすげいちのじゅうろく)」による「未完星(みかんせい)」展が、熊本県・宇城市不知火(しらぬい)美術館で開かれている。公募で寄せられた「未完」の物(現物と写真パネル計約60点)と、体験型作品の2本立て。前者は物語性を感じ
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川上未映子さん、英ブッカー賞逃す
2022/5/28 06:05 241文字英国の文学賞「ブッカー賞」の翻訳書部門である「ブッカー国際賞」が26日(日本時間27日朝)、発表され、最終候補に入っていた川上未映子さん(45)の長編小説「ヘヴン」は受賞を逃した。受賞作はインドの作家、ギータンジャリ・シュリーさんの「Tomb of Sand」だった。「ヘヴン」は、中学校でいじめを
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延岡市美展の作品募集 来月24、25日に受け付け 7月14日開幕 /宮崎
2022/5/28 06:03 332文字「第71回延岡市美術展覧会(市美展)」が7月14~30日、延岡総合文化センター(同市東浜砂町)で開かれる。市や市文化連盟の主催。実行委は絵画など5部門で作品を募集し、審査で入賞・入選した作品を展示する。 中学生を除く15歳以上を対象に▽絵画▽彫刻・工芸▽デザイン▽書道▽写真――の5部門で募集する。
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