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東日本大震災

歩む・宮城県名取・閖上だより 写真館「0から」再出発

写真館でファインダーをのぞく斎藤正善さん=宮城県名取市で

 宮城県名取市美田園地区にある復興仮設商店街「閖上(ゆりあげ)さいかい市場」の一角に写真館「0(ゼロ)からの出発 PHOTOスタジオONE」がある。同市閖上地区にあった写真館が昨冬再開した。

 「東日本大震災直後は、写真館をまたやろうとは思わなかった。でもやってよかった」。代表の斎藤正善さん(60)は笑顔だ。「ここでやっていると昔のお客さんが来てくれる。最初の一言は『大丈夫だった? みんな無事?』で、それが合言葉になっている」

 「0から」という特徴的な店名は「津波でカメラや機材は何も使えなくなったが、地域1番店を目指してまた頑張ろうという気持ちを込めた」と言う。

 地震発生時は塩釜市にいた。家族と連絡が取れて全員の無事を確認した。閖上の様子を後世に伝えようと、仙台市の親しいカメラマンにカメラを借り、夜10時ごろに閖上に入った。「翌朝になって外を見たらがれきがいっぱい。涙が出てきた。自宅からは、それまでは見えなかったはずの海も見えた」。撮影した写真に震災前の閖上を空撮した写真を加え、写真集として自費出版した。

 震災直後の11年3月末、体調を崩し、約3カ月間入院した。更に賃貸料や場所の問題から店の再開を諦めかけた時、「さいかい市場」の出店募集を聞き応募。写真館を辞めた友人から機材を安く譲ってもらった。

 被災前の屋号は「閖上さいとう写真館」。祖父の代から80年続く老舗だ。震災までは、近いうちに長男の司さん(30)にバトンタッチしようとしていたが「あと10年くらい頑張ろうか」と笑う。

 「震災で写真や家族の大切さを感じた。写真館をなくしたくない」。写真の力を信じ、再び立ち上がろうとする斎藤さんの強さを感じた。【三浦研吾、写真も】

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