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予期せぬ恋に酔いしれた。濃厚なミルク、粘り気のある食感、ほんのりした甘さ。舌にまとわりつく感じがクセになる。戦地で、こんな幸せが待っていようとは−−。シリアの首都ダマスカス旧市街。4000年以上の歴史を持ち、世界最古とも言われる街の一角で「恋人」は待っている。愛すべきバクダシュ。ピスタチオをまとったミルクアイスは、老人から子供まで、誰もを虜(とりこ)にしてしまう。
アイスクリーム店「バクダシュ」の開業は1895年。店のたたずまいはアンティーク調だ。タン、タン、カーン。店内に入ると、木製の竪杵(たてぎね)と金属の臼が奏でるリズムが聞こえる。深さ80センチほどの臼の底には、竪杵でつかれたミルクアイスがのっぺりと横たわっていた。
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