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炎上しない「クーロン」開発 ニュースサイトの導入目指す

開発されたコメント欄(赤枠内)

 ウェブサイトに“炎上”しないコメント欄を設置する人工知能を使ったサービスを、ITベンチャーのQuelon(クーロン、東京都港区、佐藤由太社長)が開発した。ニュースサイトで活発で正常な議論を成立させることができるので、新聞や雑誌などマスメディア系サイトでの採用を目指している。【高橋望】

     コメント管理システム「クーロン」は、人工知能が判断する「文章評価」と「ユーザー評価」で運営する。文章評価は、書き込まれた文章の意味を解析し、投稿内容を判断することで、公序良俗違反や差別用語、人権侵害、違法取引、出会い目的などの内容を排除する。サイト管理者によるNG(不可)設定やフィルタリングも可能だ。

     一方、「ユーザー評価」は、実名やハンドルネーム、匿名が混在するコメント欄で、まず実名とハンドルネームを重視し、文章評価による評価値を加味してコメントを公開するかどうかを点数化する。たとえば、匿名ユーザーが実名ユーザーを誹謗したり、あおり行為をしたりすると、ユーザー評価値が大幅に減点されて自動的に非公開となる。ただし、一時的な感情の高ぶりを考慮する許容機能も備えている。

     同社がサービス提供するサーバーを用意する。ウェブサイトに十数行のコードを埋め込むだけで、コメント欄を呼び出す仕組みだ。個人ブログにも設置可能。

     同社はこれまで、スマートフォンや家電の話題を集めたニュースサイト「ガジェット速報」で科学・テクノロジーを専門に扱う「Technity」を展開してきた。コメント欄は、そこで展開されるディスカッションがサイトの認知を高め、高いアクセスを呼ぶこむのに不可欠なためサイト内に設けていた。ただ、時として議論が白熱し、中傷など正常な議論から逸脱する“炎上”が発生するため、その対策からクーロンを開発した。

     6月までに導入を決めたマスメディア系サイトには、利用料などすべて無料にするという。

     同社メディア本部の熊谷悠紀さんは、「ユーザーは自己の意見を発して、他人に賛同してもらうことで快感を得る。『他人はどのように感じているのか』『私の考えは正しいのか』が気になり、そのことが自己の考えを磨き、学業や日々の業務に生かすことにもなる。議論を起こすことがユーザー獲得には絶対必要。しかし炎上などが怖くてコメント欄を設置できないのがこれまでの実情だった」と指摘する。

    ニュースサイトをテコ入れするアプリも開発中

     コメント管理システムについて同社は、マスメディアのニュースサイトをテコ入れすることも開発目的の一つに置いている。

     スマホの普及に伴い、ニュース専用アプリが注目を集めている。ニュースは各社のサイトにブラウザーで閲覧するのではなく、ニュース専用アプリで読まれる度合いが増えているが、こうした専用アプリは記事コンテンツをただ乗りしている場合があるという。

     また、「Yahoo!ニュース」などポータルサイトに記事を配信しても、自社サイトの固定読者獲得には必ずしもつながっていない。コストをかけて取材した記事が評判になっても、その記事について論議したり討論したりするのはツイッターなどの外部サービスになっているのが現状だ。

     同社は、こうした課題を解消する新たなスマホ用ニュースアプリを開発中だ。アプリ内の記事をクリックするとブラウザー経由で配信元サイトに戻り、ニュースサイトのアクセス数を減らさない。そのニュースサイトには、炎上しない同社のコメント管理システムを置き、活発な議論で固定読者を増やしていく仕組みを設ける。アプリ内の広告枠については、無料で提供することも計画している。

     佐藤社長は「記事を外部供給するビジネスモデルは利益を過剰に横取りされている状況で、もはや長続きしない。マスメディアのニュースサイトが成長できれば取材や記事の質が上がり、人々にとってメリットになる。質の高い記事が増えれば、今後増えていくと予想される有料記事の配信数も増加する」と話している。

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