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天皇陛下の写真アップはOK? 著名人は? 知っておきたいプライバシー基礎知識

画像を、公開制限をしていないツイッターやフェイスブックにアップロードする場合の深澤弁護士の見方

 ツイッターなどを使ってアイドルやタレントら著名人の写真が気軽にインターネット上で掲載されている状況が最近、目に付きます。これは、法律には触れないのでしょうか。5月下旬には、旅行中の天皇、皇后両陛下を撮影したとされる1枚の写真がネット上で瞬く間に拡散しました。両陛下の写真を撮影してアップロードしていいのかどうか、賛否が分かれる事態に発展しました。著名人の写真を撮影して公開することに対する法的な判断について、ネット上のトラブルに詳しい深澤諭史弁護士は「両陛下のケースは違法ではないと考える。しかし、著名人だからといってすべてが許されるわけではない」と指摘しています。【馬場直子/デジタル報道センター】

     両陛下は5月21、22日に栃木、群馬の両県を私的旅行で訪問されました。話題になった写真は、栃木県小山市のJR小山駅に到着した際に撮影されたもののようです。ツイッターにアップされると、たちまち大きな話題になりました。

     写真を見ると、両陛下ともカメラの方向を向いてほほ笑まれ、天皇陛下は右手を上げて応えていました。この写真について、ネット上では「すてきな笑顔」との声が上がる一方、「不敬だ」「(撮影したのはともかく)不特定多数への公開はまずかった」という批判も出ました。現在は撮影者のアカウントも含め削除されています。

     宮内庁報道室は天皇陛下の写真の撮影やネット上での公開について、「個人で行うなど常識の範囲内ならば問題ない」との立場を示しています。今回は公務ではありませんが、報道室は「プライベートな旅行といっても訪問された様子は公表され、天皇陛下も駅や車中で手を振られていた」とし、まったく私的旅行とはいえない模様です。

     では、撮影や公表が違法かどうかを明確に線引きできるのでしょうか。深澤弁護士によると、写真の公表は撮影された人の肖像権とプライバシー権が問題になり得ますが、いずれも法律に明確な定めはありません。このため、個々のケースでそれぞれ判断していかなければならないそうです。

     まず撮影するという行為です。判例では「人は正当な理由なく顔などを撮影されない人格的権利を持っている」とされています。つまり、他人を好き勝手に撮影すれば、撮られた人の法律で保護されている権利を侵害することになるという意味です。

     ただ、全ての撮影が直ちに違法となるわけではありません。無断撮影は基本的にだめですが、事情によっては許される場合もあると解釈されています。

     両陛下の写真撮影が適法か、違法かを考える上で、深澤弁護士は考えるべきポイントがいくつかあると言います。1点目は、被写体が天皇、皇后両陛下であるということ。天皇陛下は日本の象徴で公的な存在です。世界屈指の著名人であり、世間が寄せる強い関心も正当なもののため、「撮影を適法化する事情になる」と言います。

    映画の舞台挨拶で写真撮影が許可されている場合 イラスト・加藤早織

     2点目は、私的旅行だったという事情です。一般的に、人はプライベートを撮影されたくないもので、他人のプライベートを撮りたいという欲求は法的に特に保護されるものとは言えません。とすれば、撮影自体が違法となる可能性が出てきます。

     ただし、今回の旅行は公務の色彩も帯びていました。そして(1)旅行自体が発表されている(2)移動中の駅で写真を撮影した−−ことが、適法と考えるポイントになるそうです。両陛下が訪問先で注目を浴びると予想される上、撮影場所が大勢が行き交う公共の場だったからです。

     さらに、両陛下がほほ笑まれ、天皇陛下が右手を上げられた点もポイントになります。カメラを向けられた上での対応であり、「撮影を承諾されたか、ある程度は認めたと考えることができる」と言います。

     一方、ネット上での公開については、両陛下が公的な方々である上に不特定多数による撮影が許容されており、実際に撮影されれば公開されると予想されることから、「適法と言えるだろう」と話しています。

     とはいえ、撮影が適法だからといって、必ずしもソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)への公開も適法になるとは言えません。逆に違法となるケースが一般的のようです。その理由は「好き勝手に撮影されない、公表されない権利があり、それを侵害するのは違法だという考えがあるから」と解説します。

     著名人の写真が目撃情報と共にツイッターにアップロードされることが、最近目立ちますが、これに撮影された本人から苦情が出されるケースも少なくはありません。アイドルグループAKB48の島崎遥香さん(20)は昨年3月、街中で勝手に撮影されてネット上に写真を公開されたとして、「すごく嫌な気持ちになりました」と交流サイト「Google+(グーグル・プラス)」に書き込みました。

    プライベートで街中を歩いている場合

     深澤弁護士は「最近は小学校などで父母に学級の住所録を配布しなくなったように、プライバシーの権利は時代や社会によって変化している。だから、どこからが違法になるか線引きをするのは難しい」と話しています。その上で、「相手の立場になった時に『まさか撮影されるとは思わなかった』という場面での撮影は、違法となる可能性が高い」と指摘しています。

     タレントや女優などの場合、舞台に出るなどして1日のうち数時間は公の存在になり、舞台あいさつなどでは写真撮影が可能になります。この裏表の関係として、プライベートで街中を歩いているところや友達との会食の様子を無断で撮影すれば違法になる可能性が高くなるのです。深澤弁護士は「例えば、政治家が利害関係者から接待を受ける際、料亭の出入りを撮影するなど公的な利益に関われば別だが、著名人だからいつでも撮影や公開が許されるわけではない」と警鐘を鳴らしています。

    撮影した写真のアップロードは…?

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