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女児死亡 「車の抜け道」危険な通学路の悲劇

事故現場となった電柱付近にはたくさんの花が供えられていた=東京都世田谷区代沢2の都道で2014年9月22日午後3時2分、馬場直子撮影
事故現場付近の都道を下校のため歩く親子連れ。車道幅が狭いため、道路に面した建物の敷地内を歩く子供も多いという=東京都世田谷区代沢2の都道で2014年9月22日午後3時5分、馬場直子撮影
事故現場付近の都道の道幅は狭いにもかかわらず対面通行になっている。2台がすれ違うと、車が道幅のほとんどを占め、歩行者は進めなくなる=東京都世田谷区代沢2の都道で2014年9月22日午後3時8分、馬場直子撮影

 新学期が始まってまもない9月17日、通学路を歩いていた小学生の女の子が輪禍の犠牲になってしまいました。

 午後1時半ごろ、東京都世田谷区代沢2の都道で、軽トラックが下校中だった小学3年の女の子3人に突っ込んだのです。同区立池之上小3年、遠藤愛依菜(めいな)ちゃん(9)は軽トラックと電柱の間に挟まれ、翌18日に亡くなりました。一緒にいた女児(9)は腕を折り、別の女児(8)も軽傷を負う大きな事故になりました。

 交通事故の現場は、京王井の頭線池ノ上駅から南に約200メートルの住宅街にあります。車の対向がやっとの道幅の直線道路で、センターラインは無く、両脇に車道と隔てる路側帯がひかれています。3人が路側帯を歩いていたところ、軽トラックが正面からぶつかったそうです。

 現場の道路沿いは商店が建ち並んでいます。近くに住む自営業の男性(68)によると、以前はもっと店舗があったので人通りが多かった一方、車の進入は少なかったそうです。最近は店舗の閉鎖が続き、人通りが減ったため、車の通行が増えたように感じているそうです。ちょうど車が対向する場面に出くわしましたが、車2台で道幅いっぱいになり、歩行者は進めなくなってしまいました。

 通学路と聞くと、安全が確保されているような印象がありますが、普通の道路と何ら変わりないのが現状です。国土交通省の調査(2011年3月時点)によると、全国の国道と都道府県道で指定された通学路のうち、約3割には全く歩道がないそうです。この調査は法律に基づいて指定された通学路を対象に調べたため、学校や保護者が独自に「通学路」と考えているルートは入っていません。

 事故が起こった通学路とは別ですが、同じ世田谷区内の通学路を取材した経験があります。世田谷区喜多見6の区立砧小学校に続く南北約750メートルの区道です。道路幅は約5メートルで、車には一歩通行の規制がかかっています。両脇には白線がひかれていますが、路肩の幅はわずか50センチしかありません。

 砧小学校に女の子を通わせるお母さんに通学時、同行させてもらいました。砧小までの約300メートルは午前7時から午前9時まで車の通行が禁止されていますが、車は続々と入ってきます。幹線道路の「世田谷通り」への抜け道になっているようです。通行禁止時間帯にもかかわらず、車は子供のそばを通る時も速度を緩めません。子供たちは後ろから次々とやってくる車を気にしながら登校し、大型車が来れば近くの駐車場に逃げ込んでいました。

 海外では通学路には一切、車を入れないという場所もあります。フランス・ストラスブールの小学校近くには、車の進入を禁止するため、車道の真ん中で地中から出るくい「ライジングボラード」を設置しています。現場を撮影した久保田尚・埼玉大大学院教授(都市交通計画)はボラードの内側で子供の手を離す親を見て、その安全さを実感したそうです。

 久保田教授は日本の通学路の最大の課題はルールに違反し、通学路に入ってくる車の存在だと考えています。「今春の交通安全運動でも最も多い交通違反でした。『違反が当たり前』の状況になってしまっています」と指摘し、ボラードの導入を勧めています。

 これまでにも、各地で通学路の進入禁止は考えられてきました。そのたびに「渋滞を引き起こす」「車の通行で不便が生じる」などの意見に押しやられてきました。極論を言ってしまうと、子供の安全より車の通行を優先させる考えといえます。今後も「車優先」で考え、子供が危険と隣り合わせのまま通学する状況を続けてもいいのでしょうか。今一度、通学路の在り方を考える時にきているのではないでしょうか。【馬場直子/デジタル報道センター】

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