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子供のスマホ 規制派と活用派の声を聞いてみた

自分たちで作った学校紹介の動画作りを振り返る千葉県浦安中の生徒たち=浦安中で石戸諭撮影

 「午後9時以降、スマートフォン(スマホ)、携帯電話を保護者が預かる」。今年4月、愛知県刈谷市の小中学校で導入された新しい取り組みだ。真の狙いは時間規制ではなかったが、教育現場での極端なスマホ規制策として全国的な注目を集めた。一方で、外部講師を招きスマホやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の積極活用に転じる学校も出てきた。刈谷市の規制導入から半年。教育現場のスマホ規制をどう考えるべきか。刈谷市で規制を推進した大橋普支俊(ふしとし)・同市立雁が音(かりがね)中学校長(詳報はこちら)、無料通信アプリ「LINE(ライン)」を運営するLINE(東京都渋谷区)のCSR担当者、江口清貴・政策企画室長(詳報はこちら)のインタビューも交えて報告する。【馬場直子、石戸諭/デジタル報道センター】

保護者、子供の声きっかけ

 刈谷市のスマホ規制策は学校現場の声をきっかけに始まった。取りまとめたのは市の生活指導担当教員や警察官で作る「市児童生徒愛護会」。前委員長を務めたのが、大橋校長だった。大橋校長は規制の背景に「保護者や子供から寄せられた強い『要望』があった」と明かす。

 愛護会には、ラインについて「見知らぬ大人からメッセージが届く」などの相談例が報告された。その中には「無視されたと思われないようスマホを常に見るが、本当はそこまで利用したくない」という子供の声や「学校でルールを決めてくれた方が子供に注意しやすくなる」という保護者の声があった。

 内閣府の「青少年のインターネット利用環境実態調査」によると、2013年度のスマホや携帯電話の所有率は小学生が36.6%、中学生が51.9%に上っている。雁が音中でも昨年秋の調査で、所有率は1年生39.1%▽2年生60%▽3年生53.9%と多数の生徒が所持している。

 愛護会が取りまとめた提言は(1)午後9時以降はスマホ・携帯電話を親が預かる(2)むやみにスマホなどを持たせない(3)親子で利用方法を決め、有害サイトの閲覧を制限する−−の3点。「午後9時」とした根拠は「一般的に午後9時以降に家庭に電話をかけるのは失礼にあたる。スマホのメールなども同等に考えた。一つの目安」(大橋校長)として提唱した。その上で決定事項について各PTAに協力を要請するという形をとった。

 この結果、何が変わったのか。大橋校長は取り組み開始後の5月に雁が音中で調べたデータを示し、語った。

 「家庭でスマホの使い方を話し合った経験がある」は69.4%、時間制限を設けたのは39.5%。規制への賛成は48.6%、反対は10.3%、「どちらとも言えない」が40.3%となった。規制後の変化については「勉強に集中できる」「睡眠時間が増えた」といった評価する声が寄せられた。

 大橋校長は「3点の中で、時間制限が注目されているが、それぞれの家庭で保護者が子供の時間管理に責任をもつことが本当の狙い」と強調する。規制によって、親の関心も高まっているという認識だ。「親がスマホの利用方法に関心を持てば、子供も悪口を書くなど下手な行動ができなくなる。親にどう関心を持たせていくかが大事だ」

SNS積極活用も

 一方、教育現場で積極的にネットやSNSを活用して、生徒自身にも考えさせる動きも出てきている。

 今年6月下旬、千葉県浦安市の市立浦安中でツイッターと6秒間の動画撮影アプリ「Vine(ヴァイン)」を使い、学校紹介を作る授業があった。講師は東京都内のIT企業に勤める谷口和司さん(55)。地域の社会人がボランティア講師を務める同校の講座の一つで、中1の約30人を対象に教えている。

 「今日は『浦安中らしさ』をテーマに動画を撮影して、ツイッター(@urachu1)にアップ(投稿)しよう。意外性がある動画だとネットで評判になるかも」。谷口さんが用意したスマホを5、6人ごとに分けた班に配ると、生徒は投稿内容を相談し始めた。ツイッターアカウントは谷口さんが管理するが、どのような動画を発信するか、生徒自身で考えるのが授業の特徴だ。

 教室を巡回しながら、谷口さんはこう話す。「中学段階で『使わない』ではなく、世界とつながることができるというネットの可能性も教えたほうがいい。そのために必要な知識を伝えることが大事です」。授業では、安易な投稿への注意や、ツイッターが世界中のあらゆる人が見られるSNSであることを意識するように注意する。

 生徒たちは校内の撮影スポットを定めた。廊下や階段で生徒たちの声が響きわたる。「もっと動いて」「そこで横になって」。撮影役、出演役にわかれて1本の動画を作る。生徒たちの表情は終始明るく、授業時間内に動画を完成させた。谷口さんはこの授業の最後に「ツイッターはたくさんのフォロワーに届きます。今夜、家族に見せて話してみよう」と呼びかけた。

 生徒はどう受け止めているのか。中3の高瀬智也さん、石山直杜(なおと)さん、戸倉健さんの3人に聞いた。石山さんと戸倉さんの2人はスマホ、高瀬さんは携帯電話を使う。ラインは全員が使い、ツイッターも2人が使う。ラインは友人との連絡、ツイッターは有名人の投稿を閲覧することなどが目的だという。

 授業で印象的なことについて「ツイッターは誰でも見られるもので、ヴァインもいろんな人が見る」と戸倉さん。ツイッターでは、他人に見られて困るような投稿はしないよう注意しているという。

 谷口さんは言う。「子供のITリテラシーは教員のはるか先を行っています。教師が使い方を教えられないまま、中学からスマホを使っている生徒も多いし、卒業していきなり高校生からネットに触れるケースもある。中学段階から可能性と危険性を教える必要がある」

大橋普支俊校長のインタビュー詳報はこちら

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