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第1回 自転車事故率、上位固定化 ワーストは埼玉県草加市

東武草加駅前。交通量が多い交差点では自転車と歩行者が入り乱れる=埼玉県草加市氷川町で、馬場直子撮影
自転車の利用率と事故率の関係

 人口10万人以上の全国289都市について毎日新聞が2012年まで10年間の自転車乗用中の死傷事故発生率を調べたところ、平均で埼玉県草加市がワーストだったことが分かった。東京、大阪やその周辺の自治体などが上位を占めた。顔ぶれは固定化する傾向にある。専用レーンの整備が進まず歩道上で人と混在するなど、自転車に危険な道路環境が影響しているとみられる。【馬場直子、北村和巳】

 公益財団法人「交通事故総合分析センター」のデータを基に、人口10万人以上の市と東京特別区を対象に、10万人当たりの死傷者数を算出した。10年間の平均では草加市がトップで、同じ埼玉県の戸田市が2位、高松市が3位だった。

 各年の事故率ワーストは03年=東京都台東区▽04、07年=高松市▽05、10、11年=戸田市▽06、08、09年=草加市▽12年=佐賀市。10年間でワースト5に入った回数は草加市、戸田市8回▽高松市7回▽岡山市5回▽台東区、東大阪市、佐賀市4回▽兵庫県伊丹市3回▽前橋市、東京都中央区、渋谷区2回▽大阪府八尾市1回で、固定化している傾向がうかがえた。

 10年間の変動を見ると、03年に事故率60位だった伊丹市は12年に3位と大きく悪化。全国平均の事故率は10年間で35・1%減少したが、同市は逆に6・6%増加した。これに対し、神奈川県平塚市は03年の9位から12年は65位、東京都昭島市は11位から128位と大きく改善した。昭島市の事故率は10年間で62・3%減っていた。

 自転車の交通環境を研究している山中英生・徳島大大学院教授は「事故率が高い自治体の大半は、自転車利用が多いのに安全な走行環境が確保されておらず、それをまず認識すべきだ。車道左側走行を徹底させる必要がある」と指摘する。

利用少なくても事故多い都市も

 事故率は自転車の利用度が高いほど悪化する傾向にあるが、利用が少なくても事故が多い都市も目立つ。

 289都市について、2010年国勢調査で判明した通勤・通学に自転車のみを利用する人の割合(自転車分担率)と、10年の事故率を比べた。事故率ワーストの戸田市(319・0人)は分担率が15位(21・7%)。分担率トップの大阪府門真市(34・2%)は、事故率が14位(244・7人)だった。

 しかし、事故率15位の前橋市(244・5人)は分担率が136位(11・7%)、19位の東京都渋谷区(235・4人)は236位(7・6%)で、自転車の利用度に比べて事故率の高さが際立つ。

 利用度は比較的低いものの事故率が高い都市は、道路や自転車の使われ方に問題がありそうな「環境リスクが高い都市」と言え、利用度も事故率も高い都市とともに、早急な対策が不可欠だ。

乏しい専用レーン

 10年間平均の事故率がワーストの草加市。東武スカイツリーライン草加駅で降りると、自転車が頻繁に行き交っていた。

 駅東口から東に延びる県道は、約180メートルにわたり車道両端を青色に塗った自転車レーンがある。市内の自転車レーンは県道がここ1カ所のみで、市道には全くないという。そのレーンも、すぐ脇の歩道が幅約4メートルと広いせいかあまり使われず、歩道を通る自転車が目立った。

 県道から脇道に入ると中央線のない細い道路が多い。自転車は歩行者をぎりぎり避けたり、車道右側を通ったり。交差点は斜め横断する自転車が相次ぎ、車や人と接触しそうになった。

 市も自転車事故の多さは認識しているが、走行環境の整備は遅れている。交通対策課は「道路計画の中で自転車が、しっかり位置づけられてこなかった」と説明。草加駅は駅前の放置自転車台数が全国2位(今年3月、内閣府発表)で、走行路よりも放置対策に追われてきた実情もある。

 市内は道路整備より住宅開発が先行したため、道路の全幅が4メートル程度のところが多い。同課の担当者は「自転車を車道で走らせる国の方針は理解しているが、対策を打とうにも八方ふさがりの状態」と苦悩する。それでも事故の深刻な状況を踏まえ、安全な利用環境整備に向け国が勧める「自転車ネットワーク計画」を検討していく考えだ。


集計方法

 2010年国勢調査で人口10万人以上だった市と東京特別区について、交通事故総合分析センターから、03〜12年の自転車乗用中事故死傷者数の市区別データを入手。各年度末の住民基本台帳人口を基に、各年と10年間平均の人口10万人当たり死傷者数を算出し、ランキング化した。合併で新設された市は、現市名になって以降のデータを集計した。


10年間平均の事故発生率ワースト10

 (1)埼玉県草加市   307.7

 (2)埼玉県戸田市   306.0

 (3)高松市      295.6

 (4)東京都台東区   292.4

 (5)東大阪市     282.7

 (6)岡山市      281.3

 (7)佐賀市      274.5

 (8)大阪市      272.4

 (9)前橋市      265.4

(10)兵庫県加古川市  265.3

 ※人口10万人当たりの自転車乗用中事故死傷者数。単位・人

都市別の自転車事故発生率
事故発生率ランキングTOP5の推移

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