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はやぶさ2

「大変厳しい試練が待ち構えています」国中均プロジェクトリーダー会見詳報

宇宙に飛び立ったはやぶさ2の模型を前に会見する国中均JAXA教授(中央)ら=鹿児島県の種子島宇宙センターで2014年12月3日午後6時28分、津島史人撮影

 小惑星探査機はやぶさ2の打ち上げ成功後、種子島宇宙センター(鹿児島県)で3日開かれた、はやぶさ2プロジェクトリーダーの国中均・宇宙航空研究開発機構(JAXA)教授の記者会見の概要は次の通り。

大変良い季節に打ち上げられた

Q はやぶさ2の現状は。

A 「宇宙航海」がようやく始まりました。多くの応援をいただき、ありがとうございました。はやぶさ2は本日午後1時22分にH2Aに乗り、深宇宙に行くことができました。打ち上げ後、地球を1周して戻ってきてから第2エンジンの再チェックをして点火・加速し、地球周回を離れて深宇宙に脱出しようとしています。さらに午後3時9分ごろにはやぶさ2を分離し、太陽電池パネルの展開などを確認しました。米航空宇宙局(NASA)のアンテナで午後3時40分ごろに探査機の電波を受信しました。その際、太陽電池パネルが正確に展開していること、電気を出力していること、姿勢安定が保たれていることを確認しました。

Q 天候が不良で2度延期したが、その際の心境の変化はあったか。

A 「良い日取り」を待っていました。やきもきしましたが、正確に軌道に投入することができました。結果として、ウインドー(打ち上げに最適な期間、11月30日〜12月9日)の真ん中で打ち上げることができました。このウインドーは、はやぶさ2に必要とされる軌道変換のための能力が比較的少ない。そういう意味では、大変良い季節に打ち上げられたと思います。一方、今後は悪天候が予想されていたため、さらに後ろにずれ込んだ場合は、さらにやきもきすることになったと思います。今後6年間、航海が続きます。大変緊張しているのが正直なところ。宇宙航海は簡単ではありません。「はやぶさ」ができたからといって、2も必ずできるとは考えていません。宇宙航海では大変厳しい試練が待ち構えています。初号機の経験から大変良い探査機を作ることができたと自負していますが、総重量はたった600キロ。こんな小さな体で宇宙の大海原に乗り出すことになったのですから、きっと厳しい運用が待っているんだろうと思います。それが目の前に広がっている段階ですから大変緊張しています。

Q 2度の延期によって平日の打ち上げになった。それでも、現地では3000人以上の人たちが歴史的瞬間に立ち会いたいと集まり、全国でもパブリックビューイングを通して大勢の人が打ち上げを見守った。そういった人たちに見守られての旅立ちについてどう思うか。

A 大変恵まれたミッションだと思っています。大勢の人に門出を見届けていただいたのは素晴らしいこと。皆さんの期待に応えられるよう、頑張っていきたいと考えています。

Q 小惑星の内部の物質を採取する科学的意義について聞きたい。

A 目指す「1999JU3」はC型小惑星というタイプ。はやぶさによって得られた成果の一つは「宇宙風化」(太陽や宇宙線の影響で天体の物質が変質する現象)。はやぶさは大変小さな砂粒しか取ってこられませんでしたが、逆に言うとそっと柔らかく表面を拾ってきたということ。その表面の物質を分析すると、長く宇宙にさらされた表面物質は太陽風などにさらされて変質することが分かりました。はやぶさ2で目指すのは、表面物質の採取と合わせ、表面に露出していない新鮮な物質を取ってくること。衝突装置(インパクタ−)で新しいクレーターを作って、内部の物質を採取することを目指します。表面物質と内部の物質を比較することによって、小惑星で起きていることを科学的に分析することができると期待しています。

宇宙という「大自然」に小舟を送り込んだ

Q プロジェクトチームの意気込みを聞きたい。

A はやぶさ2は、我々が希望して仕立てた船です。これを作り込むことも仕事だし、使いこなすことも仕事。今はまさに、新しい海に新しい船で新しい目標に向かって門出したところです。必ず6年後に地球に戻ってくることを目標に掲げ、良い運用を目指したいと考えています。

Q ロケットの打ち上げや分離の瞬間はどう感じたか。ミッション成功の自信は?

A 分離のときは、種子島宇宙センター内の「SFA」という建屋にいました。ここには、相模原(はやぶさ2の開発拠点)とつないだ管制装置があり、はやぶさ2からの通信を受信できる環境でした。分離の際は、まだはやぶさ2が電波を出していなかったのですが、ロケット側の情報はとることができました。しばらくすると画像が送られてきて、ロケットとはやぶさ2の分離を見ることができました。ミッションの成否については、宇宙航海ですので、当然成功することを目標にして努力はしますが、成功が約束されているわけではありません。小惑星にたどりついて、小惑星への着陸・離陸を実施して地球に帰ってこないといけない。大変難しいミッションです。一つでも機械や装置を失えば、航海は危うくなります。そうならないように探査機を作り込みましたが、宇宙という「大自然」に小舟を送り込んだことによって何が起こるか分かりません。気を引き締めて慎重に、そして挑戦的に仕事をしないと成功しないと考えています。この二つの姿勢を使い分けて往復探査をなしとげようかと思います。

来年2月までさまざまな点検

Q 今後の予定は。

A 最初の慎重で重要な操作が必要な期間として2日間を予定しています。この間に、姿勢制御装置を起動して機体の3軸を確立し、小惑星からの物質採取装置「サンプラーホーン」の伸展を計画しています。これが明けると、時間に余裕ができます。そこから搭載機器のチェックをします。その後、イオンエンジンの点火も含めて、機器の機能のチェックと試運転を予定しています。それらが来年2月ぐらいまでかかる予定です。

Q 現在の探査機の状態は健全か。

A データを見る限り健全です。

Q 打ち上げ前後に川口淳一郎先生(初号機はやぶさのプロジェクトマネジャー)と話をしたか。

A 開発中もアドバイスをしてもらいました。出荷前審査、射場作業審査、打ち上げ完了審査についても、資料を見てもらっていろいろアドバイスをいただきました。探査機への指令(コマンド)の作り方も、メールも含めて指示やアドバイスをもらっています。打ち上げ後は、まだ話をする機会はありません。陰に日なたにアドバイスしてもらって感謝しています。

開発条件は大変厳しかったです

Q はやぶさ2は開発期間が2年半と非常に短かったが、やきもきしたことやヒヤヒヤしたことはなかったか。

A 開発条件は大変厳しかったです。2011年に着手したが、実際の活動時間は3年間。1年間は設計に費やし、1年後の詳細設計審査を経て開発に入りました。結果として、開発に与えられた時間は2年半しかなかった。初号機からはやぶさ2に発展して多くの機材を積むことになりました。その際、部品をすべて国内でまかなうことは難しく、海外の業者とタフな交渉をしながら、機器を作り込んできました。これができたのは、我々が(この分野の)宇宙技術にたけているからだと思います。日本が世界に誇って良い技術です。

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