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世界最先端の電波望遠鏡のデータがオルゴールに

作品「ALMA MUSIC BOX:死にゆく星の旋律」を体感する人たち=東京都港区で2014年11月21日、中村好見撮影

国立天文台とクリエーターがコラボ

「死にゆく星」の電波はどんな音色を奏でるのか−−。宇宙や生命の起源に迫るため、日本を含む21の国と地域で南米チリに建設し、2013年から本格的な観測を始めた「アルマ望遠鏡」。その観測データを使った世界初のアート作品が、東京ミッドタウン(東京都港区)の「21_21 DESIGN SIGHT」で開催中の企画展「活動のデザイン展」で展示されている。国立天文台とクリエーターによる初のコラボレーションに、国内外から注目が集まっている。【中村好見】

アルマ望遠鏡が捉えた”死にゆく星”、「ちょうこくしつ座R星」の電波データ画像=国立天文台提供

 どこかもの悲しい、不思議なオルゴールの旋律。壁に投影された浮遊感のある映像。作品「ALMA MUSIC BOX:死にゆく星の旋律」は、寿命を迎えつつある、地球から950光年かなたの「ちょうこくしつ座R星」を、聴覚と視覚で体感する試みだ。星は宇宙空間にガスを噴出し、芯だけになっていく途中にある。アルマ望遠鏡が70の異なる周波数の電波で捉えたガス(一酸化炭素)の分布を画像で表し、70枚のオルゴールディスクに置き換えた。電波が強くガスが濃い部分はディスクに穴を開けて音が出る仕組みだ。まるで星座盤のようにも見えるオルゴールディスクは一枚一枚メロディーが異なるため、毎日入れ替えて展示している。

「魂」と名付けられた電波望遠鏡

 宇宙がビッグバンにより始まった後、銀河はどのように生まれ、どのように進化してきたのか。また太陽系のような惑星系、地球のような惑星はどのように生まれ、生命の起源はどこから来たのか−−。こうした人類普遍の謎に迫ろうと、日本や米国、欧州が中心になって標高5000メートルの高原に建設した世界最先端の電波望遠鏡が、アルマ望遠鏡だ。1983年に構想が生まれ、2003年から約10年かけて建設された。建設費用は約1000億円。アルマ(ALMA)は現地チリの公用語になっているスペイン語で「魂」を意味する。

大小マゼラン雲を背に標高5000メートルの山頂施設に立つアルマ望遠鏡=ESO/C. Malin提供

 山手線に匹敵する広大な敷地に置かれたパラボラアンテナ66台が、一つの巨大な電波望遠鏡として機能する。すばる望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡の10倍の視力6000。東京から大阪に落ちている1円玉を見分けられるほどという。すばる望遠鏡などの光学望遠鏡では観測できない、暗黒の宇宙空間に存在している超低温のちりやガスの電波を捉え、調べることができるのが特徴だ。さらに、これまでの電波望遠鏡より100倍弱い電波をキャッチすることができるので、銀河や星の成り立ちや、生命の基となるような物質が宇宙空間にどのくらい存在するのかといった、宇宙や生命のルーツを調べることが期待されている。

アートの視点で科学を届ける

 作品を国立天文台と共にプロデュースしたエピファニーワークス代表の林口砂里さんは、仕事を通じて知り合った国立天文台チリ観測所助教の平松正顕さんから、初めてアルマ望遠鏡のことを聞いた。「構想から30年もかけて、人類普遍の謎にチャレンジするすごいプロジェクト。多くの人に知ってもらいたい」と感じた。ただ電波望遠鏡の観測データは視覚的に分かりづらいため、アートの視点で表現することを提案した。国立天文台も、こうした作品に参加するのは初めてのことだったが、平松さんは「科学に興味のない人にも届けられる可能性がある、おもしろい」と応じ、今年初めごろから企画を始めた。

アルマ望遠鏡の電波データ画像がオルゴールに置き換えられた作品「ALMA MUSIC BOX:死にゆく星の旋律」=東京都港区で2014年11月21日、中村好見撮影

 林口さんは、クリエーティブディレクターの川村真司さん(PARTY所属)や、サウンドアーティストの澤井妙治さん(Qosmo取締役)らクリエーターに参加を呼びかけた。作品で大切にしたのは、「人の感情に訴えられる」ことと、「アルマ望遠鏡やそのデータにシンプルにつながる」ことだ。普段、データを画像やグラフ、数字で見るしかない平松さんは「楽しみ半分、どうなるんだろうという気持ち半分だった」。しかし、初めてオルゴールの音色を聴いた時「しっくりときた」という。林口さんは「死んでいく星ということを前提として聴くからか、不思議と切なく響く。星の存在やアルマ望遠鏡をリアルに感じられる作品になったのでは」と手応えを感じている。

 10月末から企画展で公開され、ウェブサイトでも動画が公開されて評判になり、海外メディアからも注目された。今後は、国立天文台での展示も企画している。70のメロディーすべてをウェブサイトに公開してミュージシャンに音楽を作ってもらい、CDアルバムを発表する計画もある。

6日にトークイベント

 デザインを通して社会を読み解く「活動のデザイン展」は2015年2月1日まで。12月6日午後3時から林口さん、平松さん、川村さん、澤井さんによるトークイベントが開かれる。開館時間は午前11時から午後8時(入場は午後7時半まで)。一般1000円、小学生以下無料。 

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