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JTB時刻表

歴代編集長4人が本音トーク 創刊90周年イベント

ずらりと並んだ歴代の「JTB時刻表」の編集長。11・13代、14代、16代、17代(右から)=20日、高橋昌紀撮影
鉄道ファンで一杯の会場=東京都千代田区神田神保町で20日、高橋昌紀撮影
来場者を見送る歴代の「JTB時刻表」編集長=東京都千代田区神田神保町で20日、高橋昌紀撮影

 鉄道関連雑誌「JTB時刻表」(2014年度公称9万部)の創刊90周年を記念したトークイベントが20日夜、東京都千代田区神田神保町のイベントスペースで開かれた。11代目を筆頭に、現在の17代目まで歴代計4人の編集長が一堂に集合。「表紙を決められるのは編集長の特権だが、飽きることも」などと、時刻表雑誌ならではのエピソードを披露した。「スジ」の読めない本音トークの数々で、集まった鉄道ファン約70人からの拍手喝采を受けた。

     「あの時は編集部全員から、不評を買った」。2013年1月号に関する率直な思い出を吐露したのは16代目(10年12月〜14年3月)の石川敏晴さん(45)。当時は既に就任から2年以上が過ぎており、実は仕事に「段々と飽きていた」。これまでにない表紙をと、臨時列車(旧国鉄583系)の写真を採用した。「『(臨時便なので)時刻表に載っていない車両を取り上げるのはおかしい』『正月なのだから、新幹線と富士山でしょう』などと言われてしまった」

     それでも、石川さんは大胆に踏み切った。発想の転換で、廃止寸前の車両を取り上げる「いま乗っておきたい車両」という企画もスタートさせたという。「私も反対した1人。えーって、思った」。当時は部下だった17代目(14年4月〜)の大内学さん(39)が隣席から打ち明けると、会場は笑いに包まれた。一方で、大内さんは「インパクトはある。ライバル誌に勝たなければ」。編集長の気概をちらりと覗かせた。

     14代目(06年4月〜09年8月)の高山法悦さん(51)は節目の「999号」となる2009年4月号を担当。人気アニメ「銀河鉄道999」にちなみ、原作者の松本零士さんに表紙画を頼んだ。「松本さんはなかなかつかまらない人だったんですが。(ヒロインの)メーテルを輝かせて、と注文をつけたりしました」とこだわりを強調。「好きなんですか? メーテル」との後輩からの合いの手には思わず、苦笑した。

     編集長としての醍醐味(だいごみ)について、4人は異口同音に「最初の見本誌が仕上がったときの達成感」と発言した。掲載されている数字は300万〜400万個。鉄道、バス会社など約900社と毎月コンタクトをとる。忙しいのは毎月下旬から翌月初旬にかけて。見本誌の完成は発売1週間前で、「毎号毎号が体力勝負」(石川さん)。最終チェックをしているときは「仕事を忘れて、ついつい、読んじゃう」と木村嘉男さん(59)は振り返った。11代(1997年4月〜98年3月)と13代(2000年4月〜06年3月)を務めた現役最長老。最終チェックを終えると、編集部員全員で拍手をする慣例もあるという。

     ライバル誌との競争もある。「うちの方が『のぞみ』を5本多く載せています、なんてできない」(木村さん)。時刻表という決められた「線路」上で、いかに差別化できるか。直近の新幹線50周年記念号(14年10月号)で、ライバル誌は「冊子の付録をつけてきた。あーって感じ。(その差は)販売データに残酷に現れた」(石川さん)「10月号はイベントではあるけれど、付録なんてやってこないだろうと思っていた。悔しい」(大内さん)。そうは言いながらも、「臨時列車で、膨大な時刻変更が生じることがある。それを見付けることが編集者の腕の見せどころ」(同)。競争は常に繰り広げられている。

     ページの裏表で、時刻表の線にズレがないように印刷していることが隠れたこだわりだ。持ち運ぶには大きい、重いとあって、必要なページを切り抜いたり、コピーする人は多い。見やすいようにとの配慮という。路線図はデフォルメした日本地図に描かれているが、新幹線と在来線の交差地点やカーブ地点などは、現実の路線に限りなく忠実になっているという。

     トーク終盤。「編集長に直訴」と題したコーナーでは、会場からの質問を受け付けた。

     −−日本1周の早回りクイズ。編集部は正解が分かっているのですか。

     「分かりません。応募の中から、最短の人を選んでいます」(高山さん)

     「1番、2番の人はだいたい、どこかが間違っている。3番、4番の人が正確だったりします」(大内さん)

     −−時刻表に編成両数を載せてほしい。ニーズはあると思う。

     「東海道新幹線で最初にやった。今は特急を全部、載せている」(木村さん)

     「全部は大変。毎日変わっていくので。それでも、知りたい人はいますか?」

     会場からは大きな拍手。

     「(乗車定員の異なる)2両か3両かを事前に知っていて選べたら、運命変わるかもしれませんね」(石川さん)

     「青春18切符を使うときには影響大きいかも」(木村さん)

     「トイレがあるかどうかとか、重要かとも。考えてみます」(大内さん)

     紙媒体の例に漏れず、「JTB時刻表」も発行部数の減少圧力にさらされている。「新しい手を打つ。時刻表の可能性を信じて、やっていきたい」。そう意気込んだ現編集長は、最後に締めくくった。「目次を見れば分かるのだけれど、どこに何線が載っているのか、手で触るだけで分かる人もいる。ずーっとずーっと使っている人を裏切らないよう、やっていきたい」【高橋昌紀/デジタル報道センター】

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