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<国会の秘密監視機関>通報窓口、権限強化 委員から必要の声

特別管理秘密、特定秘密の文書数

 特定秘密保護法が施行されて4カ月。法を逸脱した特定秘密の指定がないかを監視するために衆参両院に設けられた「情報監視審査会」がようやく活動を始めた。毎日新聞が審査会委員にアンケートしたところ、審査会に通報の窓口を設けることや、政府への「勧告」に事実上の強制力を持たせることを求める意見が委員から出た。【青島顕】

    唯一のチェック機関

     審査会は衆参両院に常設され、政府外から特定秘密を直接見てチェックすることができる唯一の機関だ。指定が妥当でないと判断した場合、運用改善を勧告することができる。

     3月末に審査会が設置されたのを受け、毎日新聞は今月、衆参計16人の委員全員に審査会の機能について文書でアンケートした。回答したのは民主党1人、公明党1人、維新の党2人の計4人。委員の多数を占める自民党の9人全員のほか、民主党2人、公明党1人からは回答が得られなかった。審査会の機能に関して焦点の一つになっているのは、公務員などから通報を受け付ける窓口を作るかどうかだ。通報窓口は省庁の内部に設けられたが、「身内に窓口を設けても、通報できるのか」との疑問が出ている。

     アンケートでは、大野元裕参院議員(民主)、儀間光男参院議員(維新)の2人が審査会への通報窓口の設置を「必要だ」と答えた。井出庸生衆院議員(維新)は「設置自体は否定しないが、実効性のある通報窓口にするには、議論すべき点が多い」としたうえで、議論すべき点として「通報を審査会事務局が受けるのか、委員の誰かが担当するのか、通報内容を委員全体で共有するかどうか」を挙げた。

     荒木清寛参院議員(公明)は「行政内部での通報制度がどう機能するのかを見て検討すべきだ」と答えた。

     特定秘密担当相の上川陽子法相は3月、衆院内閣委員会での質問に「情報監視審査会の中で、検討・整理されるべき問題だ」と答弁した。

    抽象的な管理簿の記載

     昨年末の制度開始とともに指定された特定秘密は382件、文書数では19万件近くになる。審査会がすべてをチェックするのは困難で、手がかりとなる情報が必要だ。通報のほかに端緒になりうるのは、政府から提供される秘密の概要のリストにあたる「秘密指定管理簿」だ。

     しかし、3月に明らかになった管理簿の記載には「特定有害活動(スパイなど)・テロの実行の意思・能力に関する情報」(警察庁)、「特定有害活動の計画・方針・準備情報」(公安調査庁)など、抽象的でどんな情報なのか分からないものも少なくない。

     アンケートでは管理簿でチェックが可能なのかも尋ねた。荒木氏は「可能」と答えた。一方、井出氏と儀間氏は「現時点では評価できない」とし、実際に調査を始めて政府の出方を見なければ判断が難しいとした。

     大野氏は管理簿のほかに、省庁が指定の際に作成する「秘密指定書」に着目。指定書に含まれる、指定理由を記した書類が審査会に提示されることが必要だとした。

    勧告しかできず

     審査会が監視機関として機能するかを疑問視する声も聞かれる。審査会が特定秘密を見て、「秘密にすべきではない」と判断した場合、政府に対して勧告する権限しかないことも理由の一つだ。勧告にとどめているのは、三権分立の原則に照らし、国会が行政機関に命令することができないからだとされる。しかし、それで監視は成り立つのか。

     井出氏と儀間氏は「政府は勧告を受けることが当然だ」と実質的に勧告に強制力を持たせるべきだとした。大野氏は「チェック機能が強化されるなら勧告でよい」、荒木氏は「現状の勧告でよい」と慎重な回答だった。

     年間の開催回数については、荒木氏が「年2〜4回程度」、井出氏と儀間氏は「年5回以上」とした。井出氏は政府から報告を聞き取る▽政府説明に質問▽報告を総括−−のほか、国会に提出する報告書作成に複数回▽国政調査権にかかる政府対応への審査▽審査会の運用を決める−−などを行うために多数の開催が必要だとした。大野氏は「政府の情報公開の度合いによる」とした。

    「特管秘」多くが移行

     内閣官房は特定秘密保護法施行直後の2014年末現在で、13省庁が計18万9193件の特定秘密文書を保有していると発表した。前身の「特別管理秘密」の8割以上が引き継がれたものとみられるが、省庁ごとの文書件数しか発表されておらず、具体的にどのような秘密文書があるのか分からない。

     前身の特別管理秘密は13年末に約47万件あり、多くが移行するとみられていた。しかし、内閣官房によると、14年4月ごろ情報収集衛星のシステムを更新。その影響で、秘密の多数を占める衛星画像の保有枚数を大幅に減らしたという。14年6月末の特別管理秘密は約21万件と半減した。特定秘密はこの時点の特別管理秘密の多くが移行した模様だ。

     一方で、秘密の件数が徐々に増えている省庁もある。外務省は特別管理秘密が13年末現在で約2万1800件、半年後の14年6月末に約2万3300件だった。それが14年末の特定秘密は約3万5700件となった。外務省は「内閣官房から提供された衛星画像の数が増え、3万件以上が衛星画像だ」と説明。政府の衛星画像の保有枚数は減っているが、外務省分は増加したという。

     13年末に約1万3900件だった警察庁も、14年6月末は約1万5500件(いずれも特別管理秘密)、14年末には約1万7800件(特定秘密)に増えた。また、特定秘密の保有数が最大の防衛省は13年末が約5万5800件、14年6月末が約6万2000件、14年末は約6万件だった。


     ■ことば

    特別管理秘密と特定秘密

     特別管理秘密は、省庁ごとに管理されていた秘密の基準の統一を目的として、2009年4月に施行された制度。省庁が保有する「国の安全、外交上の秘密その他の国の重大な利益に関する事項」を指定し、法律に基づかずに運用されてきた。昨年12月の特定秘密保護法の施行と同時に廃止され、多くは特定秘密として引き継がれた。特定秘密は、外交、防衛、特定有害活動(スパイなど)の防止、テロ防止の4分野に関して「漏えいが国の安全保障に著しい支障を与える恐れがある」情報が指定される。定義は似ているが、特別管理秘密の方がやや範囲は広いとみられる。

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