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新・真健康論

暴飲暴食続ければ脂肪肝に=當瀬規嗣

 肝臓には、消化吸収された糖質や脂肪を蓄積し、必要に応じて全身へ送り出す役割があります。また、必要に応じてアミノ酸からたんぱく質を合成したり、アミノ酸や脂肪から糖質を作り出したりします。というわけで、肝臓は栄養素の「問屋」であり「工場」であるといえるのです。

     私たちは一日に3度食事をします。そうして腸に達した食べ物から糖質、脂質、たんぱく質とアミノ酸が吸収されます。吸収に要する時間は1食につき4〜5時間と見積もられます。その間、吸収された栄養素は次々と肝臓に運び込まれます。貯蔵、加工、配送と、肝臓は大車輪の活躍となります。

     栄養素の吸収が終了しても、肝臓はお役御免とはなりません。今度は空腹で栄養素の吸収がなくなるので、全身のあらゆるところで栄養素不足が起こる恐れがあります。そこで、肝臓は貯蔵していた栄養素を全身に分配し、不足があれば、栄養素を合成して全身に送り出します。空腹のときも肝臓は忙しいのです。こうして肝臓は私たちが眠っているときにも忙しく働いているのです。

     もし、食事の量が多くなると、肝臓にかかる負担が飛躍的に多くなることは、容易に想像できます。とりわけ糖質の吸収量が多くなると、肝臓は余った糖質を脂肪に変えて脂肪組織で貯蔵するように調整します。同時に吸収された脂肪も脂肪組織で直接貯蔵されます。こうして、脂肪組織は大きくなり、肥満となります。

     脂肪組織に脂肪がたくさんたまると、肝臓から脂肪を送り込みにくくなります。一方で過食が進むと、余った糖質は肝臓で脂肪に変えるしかありません。こうして行き場を失った脂肪は、肝臓の細胞の中にたまり始めます。こうして肝臓の中に脂肪がたまる現象が起こり、肝臓はそれまでの赤い色から、白っぽい色に変わってくるのです。この状態を脂肪肝といいます。脂肪肝は、肝臓がオーバーワークに陥っていることを示しているのです。

     脂肪肝は過食以外の原因でも起こります。代表的なのは飲酒によるものです。これは飲酒の際に食べ過ぎるためと勘違いされやすいのですが、そうではなく、飲酒を続けていると肥満になっていなくても脂肪肝になってしまうのです。アルコールを代謝すると生じるアセトアルデヒドが肝細胞を傷めて、そのために脂肪が蓄積すると考えられています。

     ですから、暴飲暴食という状態が続けば、間違いなく脂肪肝になります。脂肪肝自体は痛くもかゆくもありませんが、放っておくと、肝細胞が脂肪の存在によって破壊されてしまい、肝炎や肝硬変を引き起こすことになります。

     健診で脂肪肝を指摘されたら、すぐにでも対処しなければなりません。まずは、食事の節制と禁酒、そして脂肪を消費するための運動が必要です。

    脂肪組織

     脂肪を貯蔵している体内の組織。蓄積されている脂肪は中性脂肪と呼ばれるもので、食べ物から吸収されたグリセロールと脂肪酸から合成される。また、肝臓で余った糖分から合成される中性脂肪も運ばれてくる。皮下、筋肉内、腹腔(ふくくう)などに分布する。とくに腹腔内に存在する脂肪組織は内臓脂肪とも呼ばれ、とりわけ代謝が活発であり、肝臓の脂肪代謝と密接に関連して脂肪を増減させる。

     ■人物略歴

    とうせ・のりつぐ

     1984年北海道大医学部卒、88年北海道大大学院修了、医学博士。北海道大医学部助手、札幌医科大医学部助教授、米シンシナティ大助教授を経て、98年から現職。2006〜10年、医学部長。専門は生理学・薬理学。

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