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SUNDAY LIBRARY

私的本屋賞『中島ハルコの恋愛相談室』林真理子・著

気持ちいいまでの“ザ・荒療治”

◆『中島ハルコの恋愛相談室』林真理子・著(文藝春秋/税抜き1300円)

    気持ちいいまでの“ザ・荒療治”

     ユニークな、恋や生き方の相談小説集。まず登場するのは、30代後半のフードライターいづみだ。

     彼女はある日、いけずうずうしいおばさん・中島ハルコと知り合い、「ITの社長だ」という彼女の信じがたい不遜ぶりに好奇心を抱き、行動を共にするようになる。

     ハルコは、押しは強いが言ってることはすべて本当だった。一流ビジネス雑誌に載り、大企業の社長たちに一目置かれ、高級料亭に顔が利く。

     そんなハルコのもとには、いづみ自身の「十年間付き合ってる男に貸した三百万円が返ってこない」から、「老舗の和菓子屋の跡継ぎ息子がミュージシャンになると言い出した」「東大を出た女はなぜモテない」まで、相談が持ち込まれる。もつれた糸をナタでぶった斬るような答えがすごい。

     ハルコは人間関係の達人なのだ。この男女が、この親子が、という狭い範囲ではなく、「それを続けていったらあなたたちのために、周囲でどういうことがおこるかしら?」と見通す目があるのだ。

     十代の男の子女の子なら「僕たちがいいならいいじゃないか!」で済むが、大人の人間関係は当事者だけの問題ではない。いづみの一件の「男はお金を何に使っているのか」に始まるハルコの洞察力と、いづみに教えた三百万円奪還方法には舌を巻く。

     回答があまりにすごすぎ、相談者は正気にかえって自分を見つめ直してるのでは、という読後の想像もまた楽しい。(東京 代官山 蔦屋書店 間室道子さん)

    −−−−−

    <サンデー毎日 2015年6月14日号より>

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