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Listening

<社説>働く人と心の病 企業の意識を変えよう

 従業員50人以上の企業に社員の「ストレスチェック」を義務づける制度が12月から始まる。企業には社員の心のケアに十分注意を払う意識改革が求められる。

     この制度は従業員がストレスに関する質問に答え、自分の心の状態を知って精神的な不調に陥るのを防止するのが目的だ。

     社員本人が希望すれば医師による面接も行われ、企業側は医師の意見を基に業務の見直しなどの改善策を講じる。

     厚生労働省によると、2014年度、仕事のストレスなどで心の病を発症し、労災申請した人は1456人に上った。13年度より61人多い過去最多の497人が労災認定された。このうち自殺・自殺未遂も過去最多の99人に達した。

     労災認定された人の発症の原因は「悲惨な事故や災害の体験・目撃」、次いで「いやがらせ、いじめ、暴行を受けた」や「月80時間以上の時間外労働を行った」が多かった。

     うつ病と診断される人が増えていることに加え、労災として申請できるという意識が広がったことが背景にあるとみられる。実態は数字よりかなり深刻ではないかという専門家の指摘もある。

     うつ病予防には長時間労働の規制は欠かせない。昨年11月には過労死等防止対策推進法が施行された。週60時間以上働く人の割合を20年までに5%以下にする目標を掲げている。着実な達成を求めたい。

     企業の姿勢はどうか。厚労省の一昨年の調査によると、心のケアに取り組んでいる企業は増えているものの、6割にとどまる。

     取り組まない理由としては「該当する労働者がいない」が最も多く、次いで「取り組み方がわからない」「必要性を感じない」が多い。意識はまだ低い。

     社員と面接し助言する医師は、精神科が専門で職場に精通した産業医が望ましいが、現状では少ない。ストレスチェックの結果を生かすためには、職場の産業医と外部の精神科医との連携が必要だ。

     職場環境にとり立てて問題がなくても、うつ病になる社員はいる。ストレスを減らすため産業医と連携して社員研修に力を入れる企業もある。こうした取り組みを広げたい。

     心の病で休職した後の職場復帰を支える仕組みも重要だ。だが、同省の調査では「復職に関する職場のルールはない」企業は3割近くに上る。仕組みが整っていなければ、再び休職する可能性が高くなる。

     ストレスチェックによって、本人が不当に配置転換されるなど不利益を受けないよう企業が配慮することは言うまでもない。

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