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12・8 日米の傷癒やす努力を

 日本の真珠湾攻撃による日米開戦から、きょうで74年がたった。強固な日米同盟を築くに至った両国だが、今も深い傷を残す人がいる。

     日本と米国はそれを癒やす努力を続けなければならない。

     第二次大戦中に旧日本軍の捕虜となった元米兵ら10人が、日本政府の招きで14日まで来日している。

     政府による元戦争捕虜の招待は、心の和解を通じて日米の相互理解の促進を図ることを目的に2010年から始まった。これまでに訪日した元捕虜や介護者はのべ97人になる。

     戦後70年を迎え、元捕虜の高齢化が進んでいる。なるべく多くの人を招待しようと、10月に続いて、今年2回目の実施となった。

     この間、政府が招いた元捕虜の中には旧日本軍が1942年にフィリピン・バターン半島で約100キロを歩かせ、多数の死者が出た「バターン死の行進」の生存者が含まれる。09年には、当時の藤崎一郎駐米大使がこの元捕虜の団体の会合に出席し謝罪した。英国やオランダの元捕虜を招く事業の対象外だった米国の元捕虜の招待が、翌年に実現した。

     安倍晋三首相は今年4月に米議会上下両院合同会議で行った演説で、「真珠湾、バターン・コレヒドール、サンゴ海」という戦場をあげ、先の戦争で命を落とした米国人に哀悼をささげた。その折、首相夫妻が主催した夕食会には元捕虜が招かれた。

     今年は元捕虜を使役した企業の側でも、和解に向けた前進があった。

     三菱マテリアルが7月、米ロサンゼルスで、前身の三菱鉱業が大戦中に行った強制労働について、米国の元捕虜と遺族に日本の大企業として初めて公式に謝罪したのである。

     日本企業を相手取り元捕虜が損害賠償を求める訴訟が米国に広がっていた00年ごろ、日本政府はサンフランシスコ講和条約で決着済みであり法的責任はない、との立場を譲らなかった。裁判で日本の主張が認められたことで政府は道義的責任に基づく謝罪に転じ、民間も謝罪しやすい環境が整ったとみられる。

     米国は歴史問題をめぐる国際的な論議の舞台になることが多い。他の企業の動きはないが、一連の和解の意味は小さくない。

     一方、アジアとの関係改善は残されている。三菱マテリアルは、中国人被害者らとの和解を訴訟の中で模索している。

     米国政府はこのところ慰安婦問題で停滞する日韓関係を取り持つ姿勢も示してきた。当事国間では困難な問題の打開に向け、アジア・太平洋国家である米国の影響力は大きい。

     日米にはなお、原爆投下の問題などが横たわる。双方の努力でわだかまりがとけ、大統領の被爆地訪問が実現するよう期待したい。

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