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訃報

野坂昭如さん85歳=「火垂るの墓」で直木賞

第37回総選挙で田中角栄元首相の選挙区、新潟3区から立候補する野坂昭如氏=新潟県で1983年11月29日、高橋勝視撮影

 「焼け跡闇市派」を自任、本業の作家以外にも作詞や政治など多彩な活動で話題を集めた元参院議員の野坂昭如(のさか・あきゆき)さんが9日、心不全のため死去した。85歳だった。通夜・密葬は近親者で営む。本葬は19日午前11時、東京・青山葬儀所。喪主は妻暘子(ようこ)さん。

1930年鎌倉生まれ。間もなく母が亡くなり、神戸市内の親類の養子となった。45年神戸大空襲で家を焼かれ養父は死亡。疎開先の福井県では義妹を栄養失調で失った。この体験は「火垂(ほた)るの墓」のモチーフとして生かされた。

50年早稲田大文学部仏文科に入学。在学中からコントを執筆。大学除籍後、作詞家やコラムニストとして活躍した。68年「アメリカひじき」「火垂るの墓」で第58回直木賞を受賞、人気作家となった。72年編集長をしていた雑誌「面白半分」に永井荷風作と言われる「四畳半襖の下張」を掲載したことで、わいせつ文書販売等の罪で起訴され80年に最高裁で有罪が確定した。

 63年には「おもちゃのチャチャチャ」の作詞でレコード大賞童謡賞を受賞。歌手としても70年に出したレコード「マリリン・モンロー・ノー・リターン/黒の舟唄」がヒットするなど、多彩な才能を発揮した。

 戦後の食糧難で義妹を失った体験を生涯胸に抱え続け、74年参院選に無所属で東京地方区から出馬して落選した際のスローガンは「二度と飢えた子どもの顔をみたくない」だった。83年参院比例代表に二院クラブから立候補して当選したが、同年田中角栄元首相の選挙区、衆院旧新潟3区から無所属で立候補し落選した。

2003年に脳梗塞(こうそく)で倒れたが、07年2月からは本紙にコラム「七転び八起き」を今年3月まで200回連載するなど、最晩年まで表現活動を続けた。

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