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「全国一律1500円に」バイト生活綱渡り

最低賃金1500円の実現を求め、雨の中で声を上げながら歩く人たち=東京都新宿区で2015年12月13日、竹内紀臣撮影

 「父は寝たきりで祖母も高齢。高校時代、家族で唯一働ける僕のバイト代は時給850円だった」。非正規雇用が労働者の4割を占める中、そうした人々の生活に直結する最低賃金を現在の平均798円から全国一律で1500円に引き上げるよう求めるデモが13日、東京・新宿であった。中心メンバーで法政大4年の岩井佑樹さん(22)は、アルバイトで家族の生計を支え一時は進学も諦めかけた体験から、活動を続けている。【林田七恵】

 岩井さんが中学生の時、契約社員だった父が持病の悪化で失職した。しばらく家計を支えた母も疲れ果て、高校2年の春に家を出た。

 同居の祖母が預金などから授業料を出してくれ中退は免れたが、父と祖母の年金では生活費と大学進学の費用を賄うことはできない。「貧困って、こんな普通になってしまうんだ」と衝撃を受けた。父の介護の傍らコンビニ店でアルバイトを始めた。

 「高校生だから」と時給は募集金額より100円低い850円。午後10時までのシフトなのに、次に入るアルバイトが遅刻すると度々、到着まで30〜40分ただ働きさせられた。18歳未満は法律で深夜労働が認められないことを盾にされ「タイムカードだけ切っといて」と言われた。

 それでも70万〜80万円をため、奨学金を利用して大学に進んだ。別のアルバイトで生活費を稼いだが、父の病状が悪化しても入院先がなかなか見つからなかったり、祖母が骨折で入院したりして、綱渡りで暮らしてきた。

 そうした中で、高卒や高校中退で働く同年代と交流を深め、労働法制を無視した働き方を強いる「ブラックバイト」に対抗しようと、大学2年の頃から活動を始めた。「最低賃金の低さが働きにくさに影響している」と考え、今秋、学生らで市民団体「AEQUITAS(エキタス=公正を意味するラテン語)」を結成した。

 エキタス主催の13日のデモには、雨の中、約500人が参加。岩井さんは労働問題に関心が高まっているのを実感した。米国では同様の市民運動を受け、最低賃金を時給15ドル(約1800円)に引き上げる動きが広がる。岩井さんは「皆が普通に生活できる社会を実現したい」と意気込む。

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