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余録

フランスの文豪、バルザックは…

 フランスの文豪、バルザックはとんでもないコーヒー中毒だった。自分の創作力がコーヒーに依存していると信じ、際限もなく飲む量が増えていったのである。ついにはコーヒーの粉を飲むところまでいき、その結果を次のように記した▲「と、一切が動き出す。ナポレオンの大軍団さながら観念が行動を起こし、戦闘開始だ。記憶が軍旗をかざして駆けつける。論理の砲兵が弾薬を持ってはせ参じる。警句が狙撃兵のようにやってきて、登場人物が立ち上がる。瞬(またた)く間に原稿用紙がインクで覆われる」▲強烈な依存症だったことは間違いなかろう。その病死の有り様を主治医が述べている。「コーヒーの飲用というより濫用(らんよう)、および徹夜の仕事によって悪化していた古い心臓疾患(しっかん)に、新たな致命的変化が起こった」(B・ワインバーグ他著「カフェイン大全」八坂書房)▲で、こちらは日本で初めて確認されたカフェイン中毒死という。今年、眠気覚まし飲料を常用していた20代男性が体調不良で亡くなり、調べると血液や胃の内容物から高濃度カフェインが見つかった。男性は深夜勤務で長期にわたり眠気覚ましを多用していたという▲気の毒なことだが、カフェインの中毒死は米国では十数件報告されている。その急性作用として心拍増加やめまい、震え、吐き気などがあるのも覚えておいた方がよかろう。海外では成人1日の摂取量をコーヒーでマグカップ3杯程度に抑えるようにとの勧告もある▲字面(じづら)通りの「薬も過ぎれば毒」で、万事ほどほどにということだろう。心までカフェインのとりことなった文豪の運命もおりにふれて思い起こしてもいい。

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