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16%入園拒否 「経験ない」「対応が困難」

体にインスリンポンプをつけた1型糖尿病の長女蘭々ちゃんを抱く三井美知子さん=大阪府内で、森園道子撮影

 「1型糖尿病」を発症した子供が、幼稚園や保育園への入園を断られたり、難色を示されたりするケースがあることが、毎日新聞が近畿圏を中心とした患者団体を通して行ったアンケートで分かった。就学前に発症した67人のうち16%にあたる11人が「断られた」といい、「難色を示された」6人も含めると4分の1がこうした体験があると回答した。複数の園で断られたケースもあった。患者は血糖値を一定に管理する措置は必要だが、運動や食事に制限はない。専門家は、患者の子供や家族を支えるために、病気への理解を広める必要性を指摘する。

 大阪市立大病院を拠点にする患者会「大阪杉の子会」を通じて会員225人にアンケートを依頼し、119人(53%)が回答した。全国組織の1型糖尿病の患者団体「日本IDDMネットワーク」(佐賀市)は「患者の幼児が病気を理由に入園を断られるケースは各地で聞くが、実態が具体的に明らかになるのは初めて」としている。

 回答者のうち、就学前となる6歳以下で発症したのは67人。そのうち25%にあたる17人が、公立、私立を問わず病気を理由に入園や通園を断られたり難色を示されたりしていた。理由は「これまで受け入れた経験がない」「何かあった時に対応できない」「常勤の看護師がいない」などだった。

 生後7カ月で発症した大阪府内に住む三井蘭々(らら)ちゃん(3)の母美知子さん(34)は、来春に幼稚園か保育園に通わせようとしたが、3カ所で難色を示されたという。4カ所目の幼稚園で入園が決まったが「この病気への理解が進んでいない現状を改めて感じた」と振り返った。

 2歳で発症した女児(7)の母親は、希望した私立幼稚園から「保護者が一日中付き添わなければ受け入れられない」と言われ、入園をあきらめた。「子供にとって最初の社会生活の幼稚園に入れず、精神的ダメージは大きかった。これからも社会に受け入れられないかと思い、精神的に追い込まれた」と振り返る。

 1型糖尿病の患者は1日数回、食事前などに血糖値を下げるホルモンの「インスリン」を、注射かポンプで体内に注入する必要がある。注射や血糖値の測定は医療行為にあたり、園側が行うことはできない。このため通園する患者の幼児は多くの場合、医師の指導を受けた保護者が昼食前に訪れ、血糖値を計測してインスリンを注入している。

 文部科学省や厚生労働省によると、1型糖尿病も含め、病気を抱えた子供の入園について、国によるガイドラインなどはなく、各幼稚園や保育園側の判断に任されている。1型糖尿病の子を受け入れたことのある関西の私立幼稚園の園長は「子供にトラブルがあれば訴訟問題に発展する可能性があり、リスクを考えて二の足を踏む。だが、保護者と話し合って可能な限り受け入れるべきだ」と語る。

 1型糖尿病が専門の大阪市立大大学院発達小児医学教室の川村智行講師(小児内分泌学)によると、血糖値を管理すれば生活に制限はなく、健常者と同様に生活できるといい、低血糖で意識を失うこともまれにあるが、生命に影響する事態にはならない。川村講師は「1型糖尿病は誰でもかかりうる。社会全体で理解を広める必要がある」と訴えている。【柳楽未来】

1型糖尿病

 血糖値を下げるホルモン「インスリン」が体内で分泌されなくなる自己免疫疾患。生活習慣病に分類される2型とは異なり、幼少期の発症が多い。原因は不明で、生涯、インスリンを体外から補充する必要がある。国内では年間10万人に1〜2人が発症するとされ、約10万人の患者がいるとする見方がある。しかし、患者数の特定が進んでおらず、国の難病認定は受けていない。患者には、プロ野球・阪神タイガースの岩田稔投手(32)もおり、患者の子供たちを甲子園球場に招待したり、研究基金に寄付したりするなど支援に取り組んでいる。

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