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<痴漢>勾留、原則認めず 「解雇の恐れ」考慮 東京地裁

 捜査段階で容疑者の拘束を解く裁判所の判断が急増していることが明らかになった。行き過ぎた拘束を見直す意識の高まりが背景にあり、東京地裁では痴漢事件の勾留請求を原則認めない運用が定着している。長期の拘束が社会生活に与える影響を考慮した判断で、弁護士らは冤罪(えんざい)の防止につながることを期待している。【山下俊輔】

 昨年9月、混雑するJRの電車内で乗客の体を触ったとして、東京都迷惑防止条例違反(痴漢)の疑いで逮捕された男性会社員は「触っていない」と容疑を否認した。東京地検は10日間の拘束を求めて勾留を請求したが、東京地裁は却下。地検が異議を申し立てずに男性は釈放され、在宅捜査に切り替えられた。

 近年、痴漢事件で無罪判決が相次いだことを受け、東京地裁は痴漢で逮捕された容疑者の勾留を原則認めていない。「事件があった路線に乗車しない」とする誓約書へのサインを求め、応じた場合は勾留請求をほとんど退けているという。

 あるベテラン裁判官は「後に無罪判決が出ても、勾留が続けば解雇される恐れがあり、影響は大きい。拘束までする必要はないと考える裁判官が増えている」と説明。元裁判官で冤罪事件に詳しい秋山賢三弁護士も「痴漢で逮捕される人の多くは家族がいて勤務先もはっきりしている。証拠も被害者の供述に限られることが多く、勾留の必要はない」と強調し、裁判所の対応の変化を歓迎する。

 2005年の東京地裁の勾留請求の却下は389件(却下率1・5%)で、全国の却下件数の5割強を占めていた。14年には約3倍の1171件(7・8%)に増加したが、全体に占める割合は4割弱に低下しており、却下の動きが地方にも広がっているとみられる。

 刑事弁護の経験が豊富な坂根真也弁護士(東京弁護士会)は「痴漢以外の事件でも却下が増えていると感じる。望ましい傾向で、流れは今後も続く」とみる一方、「否認事件や罪名が重大な事件で勾留が認められやすい傾向は残っている。十分といえない」と指摘する。

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