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「健康保険で治療を」署名17万人分提出

署名簿を塩崎恭久厚生労働相(左)に手渡す脳脊髄液減少症の大平千秋さん(左から2人目)=東京・霞が関で2015年12月24日午後3時3分、竹内幹撮影

患者や家族ら塩崎厚労相に

 宮城県富谷町で開業している内科医の大平千秋さん(66)が24日、脳脊髄(せきずい)液減少症の患者や家族25人と共に東京・霞が関の厚生労働省を訪れ、健康保険で治療を受けられるようになることを求める署名17万人余分を塩崎恭久厚労相に渡した。「自分と同じように、この病気と分からぬまま地獄のような苦しみに耐えている人たちがいる。この病気の存在を広く知ってもらいたい」。そんな思いを込めた。

     1997年秋、ゴルフ場に向かってハンドルを握っていた。駐車場の出口でブレーキを踏んだ直後、ゴルフ仲間の車に「ドン」と追突された。車は傷んだが、大した事故ではなくそのままゴルフをした。だが、おかしな感覚にとりつかれる。「体がフワフワする。ただごとじゃない」。嫌な予感を抱えて帰宅した。

     体調はみるみる悪化した。締め付けられているような猛烈な頭痛が続き、首の回りが張る。自分の体で何が起きているのか分からなかった。「むち打ちだったら2年以内に治るはずだ」と自身に言いきかせながら、さまざまな医師に診てもらったが、有効な治療法はなかった。2001年には不眠が続いて自殺を思いつめるところまで追い込まれ、精神科に2カ月間入院した。

     03年春、インターネットでむち打ち症の患者団体を知って相談。脳脊髄液減少症が見逃されていることに00年ごろ気付き、治療を始めていた篠永正道医師を教えられた。

     脳と脊髄は硬膜で包まれ、硬膜内の隙間(すきま)を髄液が満たしている。この髄液が体内で漏れると頭痛や吐き気、めまいなどのさまざまな症状が起きるという。医師でありながら思いもよらなかった。

     「みるみる視界が明るくなって効果を実感した。うれしくてボロボロと涙が出て……」。大平さんは、篠永医師からブラッドパッチと呼ばれる髄液の漏れを止める治療を受けた直後の感動を忘れない。1回で事故前の70%程度まで体調が回復し、06年に2回目を受けて今は85%ほどの回復を実感している。

     内科医としても患者たちと向き合ってきた。これまで約500人の髄液漏れが疑われる患者を診て、症状がひどければブラッドパッチをしてくれる病院を紹介してきた。中には治らずに自殺してしまった女性もいた。

     患者救済を求める声が高まり07年に国の研究班が発足し、11年に診断基準が発表された。それでも医療現場の理解はまだまだだと感じる。「医師が健康保険の対象でない治療に懐疑的になる気持ちは私にも分かる。保険適用となれば、そんな医師たちの態度は一変する。そうすれば多くの患者が救われる」【渡辺暖】

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