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余録

「従軍慰安婦問題は当時の軍の関与の下に…

 「従軍慰安婦問題は当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題でした。(日本国首相は)苦痛を経験され、心身にわたり癒やしがたい傷を負われたすべての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを申し上げます」▲これはきのうの日韓外相会談の合意事項ではない。過去のアジア女性基金による元慰安婦への「償(つぐな)い金」支給にあたり手渡された日本の歴代首相のおわびの手紙の一部である。きのうの合意ではこの文章の半ばに日本政府は「責任を痛感」の句が挿入されたかたちだ▲この「責任」の一言をめぐる日韓合意にいたるまでに費やされた時間、両国民の感情的対立を振り返れば天を仰ぎたくなる。その間に両国の対応のはざまで日本側の償い金やおわびのメッセージも受け取ることなく世を去った多くの元慰安婦を思えば残念でならない▲きのうの外相会談ではこの問題の「最終的、不可(ふか)逆(ぎゃく)的解決」がキーワードだった。合意では日本政府による元慰安婦支援財団への約10億円の一括拠出、慰安婦問題での相互非難の抑制もうたわれ、日本大使館前の慰安婦の少女像撤去でも韓国政府の努力が約束された▲幕末の日本で活躍した英外交官、E・サトウは外交を「独立国政府間で公的関係の処理に知性と機転を用いること」と定義した。原理やドグマにとらわれず、常識を働かせて相互に受け入れ可能な合意を作り出すことが外交ならば、歴史問題はその最難関といえよう▲日韓国交50年が残した繁栄と安定は「知性と機転」で難関を乗り越えてきた両国先人の努力のたまものである。今はそれを次の世代に引き継ぐ時だ。

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