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原子番号113番 理研が命名権獲得

元素周期表の113番元素を指さす理化学研究所の森田浩介グループディレクター=埼玉県和光市で2015年12月31日午後6時、竹内幹撮影

 理化学研究所は31日、森田浩介グループディレクター(58)らのチームが2004年に合成した新元素(原子番号113)について、国際学会で理研の発見と認められ、アジアで初めて命名権を獲得したと発表した。これにより、元素周期表に初めて日本人が名付け親の元素が掲載されることになる。森田さんは「元素名はこれから考える」と述べた。

     原子番号92のウランより重い元素は全て人工的に合成され、118番まで発見の報告がある。113番については、理研と米露の共同チームがそれぞれ「発見した」と報告し、国際純正・応用化学連合と国際純粋・応用物理学連合の合同作業部会が審査していた。

     今回、両学会は「データの確実性が高い」ことを理由に、理研の発見を認定し、31日に森田さんに通知した。一方、未確定だった115番と117番、118番の新元素は米露チームの発見を認めた。

     森田さんは「周期表に名前が残ることは感慨深い。大勢の共同研究者にまずは感謝したい」と述べた。

     森田さんらは03年9月から、亜鉛の原子核(陽子30個)を加速器で光速の10%まで加速し、重金属のビスマス原子核(同83個)に衝突させて核融合させる実験を繰り返し、04年9月に1個の113番元素ができたと報告。12年8月までに計3個の合成に成功した。

     一方、米露チームは04年2月、アメリシウム(同95個)にカルシウム(同20個)を衝突させて115番元素を作り、崩壊の過程で113番元素を確認したと発表していた。【斎藤広子、下桐実雅子】

    元素周期表

     元素は宇宙のあらゆる物質を構成する基本要素。原子番号は原子核内の陽子の数を表す。原子番号1の水素が最も軽く、92のウランまでは自然界に存在する。それより重い元素は人工的に作られる。原子番号によって元素の性質は周期的に変わり、似た性質の元素が縦や横の列に並ぶように配置したものが元素周期表。

              ◇

     113番元素発見の報告は、2004年9月の理化学研究所のチームより米露の共同チームの方が7カ月早かった。にもかかわらず、国際学会が理研の発見を認定したのは、「データの質の高さが評価された結果だ」と、審査に関わった関係者は明かす。

     亜鉛とビスマスの原子核を高速で衝突させ、無理やり融合させた113番元素は不安定で、平均0.002秒ほどで別の元素へと崩壊する。確かに合成されていたと認められるには、崩壊を繰り返した後に既知の元素になるかどうかを確認することが重要だ。

     理研チームは2004年と05年に113番元素の合成に成功した際、崩壊が連鎖してドブニウム(陽子105個)に変化したことを確認。12年8月にもメンデレビウム(陽子101個)に変化したことを確認した。

     一方、ライバルの米露チームは115番元素を合成し、その崩壊の過程で113番元素を確認したと論文発表。作り出した新元素の数を重視し、数十回113番元素を合成したと報告したが、既知の元素への崩壊を確認していなかった。

     データの「量より質」を追求した理研チームの戦略が、日本の科学史に刻み込まれる栄誉をたぐり寄せた。【斎藤広子】

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