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老朽化が進行 1割以上が「期限切れ」

全国の水道管の更新率と老朽管の延長推移

人口減で水道料金収入の落ち込み 進まぬ更新

破損した水道管から水が噴き出し、通行止めとなった県道=山口県下関市彦島福浦町で2015年10月18日午後1時52分、仲田力行撮影

 水道管の老朽化が進み、総延長の1割以上が法定耐用年数の40年を過ぎていることがわかった。整備が進んだ1970年代の水道管が更新時期を迎えているが、人口減による水道料金収入の落ち込みが影響して更新が遅れている。水道管の破損などトラブルも相次いでおり、厚生労働省は対策を検討している。

 全国の水道は市町村や複数の自治体がつくる企業団などによって70年代に整備が進み、78年に普及率が9割に達した。2013年度の国内総延長は約65万4000キロで、普及率97.7%。

 水道管は地方公営企業法施行規則で法定耐用年数が40年と定められている。最近の水道管は耐久性が高く、100年使えるといわれる管もあるが、70年代やそれ以前に敷設された水道管は強度が十分でなく、更新時期を迎えているものが多い。厚労省水道課は「古い水道管は地震などの災害時に破損する恐れもあるため更新が必要」としている。

 しかし、厚労省が日本水道協会の水道統計を分析したところ、法定耐用年数を過ぎた水道管は06年度は全体の6%だったが、13年度は約6万8000キロ、10.5%と初めて1割を突破した。一方、13年度に更新された水道管は約5200キロで、全体のわずか0.79%。厚労省はこのままのペースだと耐用年数を過ぎる水道管は43年度に56%に達すると予測する。

 更新が進まないのは、原資になる料金収入が人口減少や節水機器の普及で減少しているためだ。料金収入のピークは00年ごろで約2兆5000億円だったが、近年は約2兆3000億円程度に減っている。

 都道府県別で法定耐用年数を超えた水道管の割合が高いのは、大阪府25.0%▽山口県18.0%▽奈良県16.7%−−の順。大阪府の担当者は「早くから水道管の整備を進めたため古い水道管が多い。年間で全体の1%を新しくしているが、財政に余裕がない自治体もあり更新が進まない」と説明する。

 水道管の破損や水漏れなどのトラブルは13年度に全国で約2万5000件発生。奈良県桜井市では今年10月、42年前に設置した水道管の継ぎ目が腐食して破損し、約4600世帯が断水したり、水が濁ったりするなどした。長崎市では11月、45年が経過した水道管が破損して道路が陥没し、約1500世帯が断水した。

 厚労省は9月から専門家検討会で対策を協議している。単独自治体で維持するのではなく、周辺自治体との事業統合で経営基盤を強化することなどを盛り込んだ報告書を近くまとめる予定だ。【古関俊樹、黒田阿紗子】

値上げ5年で279地域

 水道事業を巡っては、2009〜13年に279の自治体や企業団が料金の値上げに踏み切った。減収が主な理由だ。

 人口約1万6400人の大分県玖珠町は、1998年、07年に続いて16年4月に約9%値上げする。14年度決算は2200万円の赤字で、担当者は「人口減による減収は深刻。老朽化で漏水事故も増えており、このままでは水道事業が立ちゆかなくなる」と危機感をあらわにする。

 水道料金が「日本一安い」とPRしてきた静岡県富士市も16年4月、19年ぶりに約32%値上げする。人口減少などで料金収入が減ったうえ、東日本大震災後の人件費高騰で更新や施設の耐震化費用もかさむようになった。担当者は「赤字を避けるためにはやむを得ない」と話している。

迫られる待ったなしの対応

 作新学院大経営学部の太田正教授(地方公企業論)の話 水道施設の老朽化が進み、待ったなしの対応が迫られている。人口が減り、財政的な制約が増す中、借金をして水道管を更新し、後の世代に負担を回す手法は難しく、料金負担を求めざるを得なくなる。街づくりの視点に立って、どの施設を優先的に残し、統廃合していくのか、費用を負担する住民にも選択を委ね、納得できる形で水道事業の将来像を決めることが求められている。

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