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未来開く鉄の力 懐かし車両「第二の人生」

JR東海からミャンマーへ譲渡されたディーゼルカー。廃車予定だったが、昨年3月に譲渡が決まった=ヤンゴン中央駅で2015年11月、竹内紀臣撮影

日本から世界へ 日本の「当たり前」実はすごい

 140年余の歴史を誇る日本の鉄道は、列車本数の多さや遅延の少なさ、安全性の3点において世界的にみても優れていることで知られる。その先進性は海外でも注目され、政府も積極的なインフラ輸出に乗り出しているほか、風光明媚(めいび)な地方を走る列車は海外からの観光客にも人気で、「クールジャパン」の代名詞のひとつにもなっている。都市で地方で海外で。「鉄の力」が、地域を支える力の源泉となっている。

 成長戦略の一環として、政府は鉄道車両の海外輸出を積極的に進めている。年10億ドル台で推移してきた日本メーカーからの輸出額は2013年度に33億ドルへ急増、14年度も28億ドルに上ったが、一方で格安の中古車両の譲渡も盛んだ。日本の鉄道会社の保守管理の良さが評価されていることが、その背景にある。

 東京メトロ丸ノ内線や名古屋市営地下鉄東山線の車両はアルゼンチンのブエノスアイレスで、赤や黄色の日本時代と同じカラーリングのまま走った。JR東海道線を行き来したブルートレインもマレーシアやタイへ。ミャンマーへは、JR東海や三陸鉄道など各地のローカル線を支えた多数のディーゼルカーが旅立った。

 特に目立つのが、約3000万人の人口を擁するインドネシアのジャカルタ首都圏の通勤路線だ。以前は新車を輸入していたが、1998年の経済危機に伴う財政難の際、都営地下鉄三田線の72両を無償譲渡してもらって以降急増した。故障が少ないうえ、線路の幅や架線の電圧が日本と同じで、エアコンまで付いている点が受けている。

 既に約1000両が輸出され、今も約800両の通勤車両が南国の青空の下、「第二の人生」を送っており、通勤の苦楽を共にしたかつての同僚に異国でばったり出会ったような気にさせられる。

 インドネシアの鉄道事情に詳しい在スラバヤ総領事館の古賀俊行(としみち)首席領事は「次第に技術移転が進むと、国産車両が増え、中古車両の輸入は減るかもしれないが、現地の人たちが日本の技術水準の確かさを日々体感できるきっかけになっている」と話している。【本多健】

ジャカルタで車両メンテナンスを指導中 前田健吾さん(42)=JR東日本出身

 「ハゲタカだ」。それがインドネシアに赴き、日本製の一部の中古車両を目にしたときの率直な印象でした。

 現地では部品が他の車両の修理に流用され、骸骨のような姿をしている車両がありました。「壊れる前に修理せよ」。そうたたき込まれてきた私からすると、出向先の鉄道会社幹部は訓示はするが作業の中身は不明瞭。上下関係も厳しく、危険な兆候があっても部下は報告をあげにくそうに見えました。「これはまずい」と、日々のメンテナンスのマニュアル作りを提案。幹部を含めた現場でのディスカッションを勧め、「ハゲタカ」解消も進みました。駅での行き先案内や切符の販売手法など、身ぶり手ぶりで教える日々です。

 「何事もいいかげん」。彼らにはそんな誤解もありますが、実際は日本に劣らずやる気があり、まじめです。政府は首都圏の鉄道利用者を2019年には14年の約2倍、1日120万人にする計画です。近代化のピッチも上がり、線路近くを歩いたり、ドアから身を乗り出したりする光景や、日本語のままの行き先表示もかなり減りました。

 ジャワ島の高速鉄道計画では日本の新幹線が採用されず残念でしたが、私がお手伝いしている技術は、標準的なものばかり。実は日本の当たり前って、結構すごい。「ニッポン、まだまだいけるぞ」。そう思っています。

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