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余録

真ん中にお湯を注ぐ…

 真ん中にお湯を注ぐ。10円玉くらいの大きさの円を作るように「の」の字を書く。続けて500円玉くらいの大きさになるまで注ぐ。できるだけポットの先を近づける。注ぐというより、お湯を置く感じで▲「コーヒーの絵本」(ミルブックス)から抜粋した。文章を担当した庄野雄治(しょうのゆうじ)さん(46)が故郷の徳島でコーヒー焙煎(ばいせん)店「アアルトコーヒー」を始めて今年で10年となる。昨年末、庄野さんが講師を務める「コーヒーのいれ方教室」が東京であった▲豆をミルでひくところから始め、紙のフィルターを使ってドリップする。「水道水でも大丈夫」と庄野さんは言う。砂糖もミルクも入れないブラックがいい、なんてことはなく、自分の好きな飲み方をするのが一番と聞き、舌に自信のない者としては安心した▲東京・新宿シネマカリテで上映中の米映画「ア・フィルム・アバウト・コーヒー」は一杯のコーヒーをめぐる作品だ。糸井重里(いといしげさと)さんらが通った「大坊(だいぼう)珈琲店」(2013年12月閉店)をはじめ東京の喫茶店も登場する。お湯の注ぎ方に細心の注意を払う日本のコーヒー文化への敬意がにじむ▲店舗数こそ1981年をピークに減少を続けているものの国内のコーヒー消費量は3年連続で過去最高を記録している。業界団体は「ドリップ男子」と名付けたキャンペーンを仕掛け、コーヒーをいれる男子はカッコイイというメッセージを発信中だ▲コーヒーは日々の生活に欠かせないものではない。コンビニのコーヒーも侮れない。だが、休日の朝、豆をひき、一滴ずつ抽出した一杯を口にする幸せ。手間ひまかけることをいとわない1年にしたい。

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