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中国、人工島で民間機の試験飛行 ベトナム抗議

 【北京・石原聖】中国外務省は2日夜、南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島にあるファイアリクロス(中国名・永暑)礁を埋め立てて建設した飛行場が完成し、民間航空機の試験飛行を実施したと明らかにした。昨年12月、同礁近くのクアテロン(同・華陽)礁付近を米軍のB52戦略爆撃機が「誤って」飛行した。今回、中国側は民間機を飛ばすことで軍事拠点の意味合いを薄めるとともに、米国や周辺諸国に実効支配をアピールする狙いがあるとみられる。

     ロイター通信によると、中国が南沙諸島の飛行場で試験飛行するのは初めて。ベトナム外務省報道官が2日、「(航空機を)不法に造った滑走路へ飛ばした」と指摘。「南沙諸島でのベトナムの主権に対する著しい侵害だ」と中国を批判し、再発防止を求める抗議文を出した。

     これを受けて中国外務省の華春瑩(か・しゅんえい)副報道局長が「主権の範囲内であり、ベトナム側の不当な非難は受け付けない」と反論。「(飛行場の)設備が民間航空の基準に合致しているかどうかをテストするためだ」と、飛行の事実を明らかにした。

     両国の国防相は昨年12月31日、電話で連携の強化などを協議したばかりだった。

     国際軍事専門誌IHSジェーンズ・ディフェンス・ウイークリーなどによると、中国はファイアリクロス礁のほかミスチーフ礁、スービ礁を人工島化して滑走路3本を建設中。軍事拠点化の意図は否定しているが、3000メートル級と、軍用機の離着陸を念頭に置いた長さの滑走路を建設しており、戦闘機や無人機などの展開・補給拠点として「航行の自由」作戦を展開する米軍に対する監視能力向上にもつなげる狙いがある。

     また、ファイアリクロス礁は、領有権を争うフィリピンが、南沙諸島の島しょの法的性格の確認を求めて常設仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)に提訴した案件に含まれる。

     中国は仲裁への参加を拒否し「仲裁裁判所に管轄権はない」と主張していたが、同裁判所は昨年10月に「管轄権がある」と審議を決定。1日までに中国に文書で意見を提出するよう改めて求めていた。

     中国はこの要請にも応じなかったとみられており、今回の飛行で実効支配していることをアピールし、国際的に仲裁を受け入れないと改めて示したと言えそうだ。

     一方、試験飛行について、米国務省報道担当者は2日、「(地域の)緊張を悪化させた」と非難し、周辺各国に「不安定化につながる一方的な行動は控えるよう」呼びかけた。

     報道担当者は、南沙諸島での領有権を主張する中国、ベトナム、フィリピンの各国を念頭に「これ以上の領有権の主張や施設の建設などを控える必要がある」と述べ、緊張を拡大させないよう求めた。事態を懸念する米国は昨年10月、中国が人工島を造成した南沙諸島のスービ礁から12カイリ内にイージス駆逐艦を派遣した。

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