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賃上げ発言相次ぐ 日銀総裁、連合に奮起を

連合の新年交歓会であいさつする日銀の黒田東彦総裁=東京都荒川区で2016年1月5日午後4時26分、徳野仁子撮影

 2016年春闘のスタートを前に、経団連など経済3団体が5日開いた新年を祝うパーティーで賃上げに前向きな大企業トップの発言が相次いだ。黒田東彦(はるひこ)日銀総裁は同日、労働組合の中央組織である連合の新年交歓会に出席、労組に奮起を促す異例のあいさつをした。大企業の賃上げムードは高まっているが、中小企業に広がるかは予断を許さない。

 電機業界の春闘をリードする日立製作所の中西宏明会長は「賃金が働く意欲を増す方向で考える」と話し、賃上げを前向きに検討する意向を示した。「業績が良ければ社員に還元するのは当然」(パナソニックの長栄周作会長)、「デフレに引き戻されないためにはもう一息。賃上げはけん引役だ」(大和証券グループ本社の日比野隆司社長)と積極的な発言が続いた。

 第一生命保険の渡辺光一郎社長は「賃上げは地方経済に波及するので重要だ」と述べ、営業職員の初任給を約2万円引き上げる方針を表明。営業職員の初任給アップは15年ぶりで、4月以降に入社する職員から適用する。景気回復に伴い営業職の人材確保が難しくなっており、賃上げで優秀な人材を確保する考えだ。日本生命保険の筒井義信社長も「前向きに検討したい」と表明した。

 一方、日銀の黒田総裁は5日、連合の新年交歓会で「企業収益は全体として過去最高水準にあり、労働者側にとって強い追い風が吹いている」と述べ、賃金交渉に強気で対応するよう促した。中央銀行トップが労組の会合で賃上げへの対応を促す異例の発言だ。

 総裁の出席は2年連続だが、今回は初めて壇上に立ってあいさつし、「(日銀が目標とする)2%の物価上昇は、それに見合った賃金上昇がなければ持続可能ではない」と指摘。「日本銀行はやるべき事は断固としてやる。それぞれが役割を果たそう」と呼びかけた。連合の神津里季生(こうづりきお)会長は「デフレ脱却を日銀だけに任せて良いはずはない。世の中全体の力を合わせなければ」と呼応してみせた。

 総裁があえて労組に賃上げの必要性をアピールしたのは、物価上昇目標の早期達成には、賃上げを通じた個人消費の底上げが不可欠と考えるためだ。円安や原油安で大手を中心に企業業績が改善し、15年春闘まで2年連続でベースアップ(ベア)が実現したものの、消費の勢いは鈍い。連合は今春闘で「2%程度」のベア要求を掲げるが、日銀内では「賃金上昇のさらなる加速が必要」との見方がある。

 さらに、働き手の7割程度を占める中小企業に賃上げが波及しないと、消費の本格回復は期待できない。日本商工会議所の三村明夫会頭は5日の記者会見で「大企業は、下請けへの値下げ圧力を是正してほしい」と要請。中小企業の賃上げには、業績が回復した大企業が取引先の中小企業への値下げ要請を緩和することが前提になるとの認識を示した。【土屋渓、横山三加子、中井正裕】

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