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余録

その昔、中国の道士が…

 その昔、中国の道士が修行で山に入る時は鏡を背中につるしていたという。晋(しん)の時代の「抱朴子(ほうぼくし)」という道教の本にある話で、鏡は当時の中国の尺度で径9寸、換算すると21センチ以上と大きさも決まっていた。むろんヒゲをそるためではない▲山中での魔よけのためであった。人の目をくらます物の怪(け)が現れた時、鏡を見ればその正体が映し出されるという。だから鏡を持っているだけで、妖怪も人に近づかなくなる。2人の道士の修行をひやかしに現れた怪しい男が鹿の化身(けしん)と見抜かれた話も記されている▲「抱朴子」は鏡には遠方や未来を映し出す力もあり、何枚も組み合わせれば神々も見えるという。中国の道教ではドラえもんのポケットみたいにあったらいいなと思うものが何でも出てくる。そして今、中国政府も映したいものを映す「鏡」をほしがっているようだ▲「株式市場は経済の鏡」とよくいわれる。だが年初の上海株式市場は株価が急落、世界同時株安の震源となった。株価急変に備えて導入されたサーキットブレーカー制度による取引打ち切りが2度発動され、逆にパニックの原因となったとして制度は一時停止された▲背景には昨夏の株価急落でとられた大株主の株売却規制の解除を見越した売り急ぎがある。当局は規制延長や株価買い支えをアピールしてひとまず相場は落ち着いた。だが当局の介入が経済を映す鏡をゆがめ、投資家の疑心暗鬼(ぎしんあんき)を招いては株価の乱高下は収まるまい▲世界第2の規模をもつ経済の鏡はもはや世界経済の命運を左右する国際公共財である。ここは一点のくもりもなく透明に磨いてもらわねばみんなが困る。

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