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陸上ドーピング 腐敗体質の一掃を図れ

 ロシアによる国家ぐるみのドーピング(禁止薬物使用)は陸上の統括団体である国際陸上競技連盟(IAAF)を揺るがす問題に発展した。世界反ドーピング機関(WADA)の第三者委員会は、昨年8月まで16年間にわたってIAAF会長の座にあったディアク氏(セネガル)がロシア選手らのドーピング違反の隠蔽(いんぺい)に積極的に関与していたとする調査報告書を公表した。

     違反行為を摘発して競技の公正、公平を維持する立場にある国際統括団体のトップが関わった不正行為は過去の記録の正当性に疑念を抱かせる重大な背任行為だ。後任のコー会長(英国)は腐敗体質の一掃に向け、全容解明を進めるとともに再発防止に着手しなければならない。

     報告書によると、ディアク前会長はIAAFのマーケティングコンサルタントとして採用した息子らと共謀して、ロシアやトルコの陸上選手のドーピング違反を見逃す代わりに賄賂を受け取っていた。

     さらにモスクワで2013年に開催された陸上の世界選手権にドーピング疑惑のあったロシアの選手たちが出場しないよう弁護士を介してロシアのプーチン大統領と取引しようとした。違反の発覚を避ける狙いだったとみられる。選手たちは出場しなかったが、大統領との間で取引が行われたかについて報告書は言及していない。ロシア側は大統領の関与を否定しており、真相は不明だ。

     汚職が横行した背景として、報告書はディアク前会長が周囲を身内らで固めて組織を私物化する一方で理事会などによるチェック機能が働かなかったことを指摘した。そして、当時の幹部が不正を認識していた可能性に触れ、「腐敗は組織全体に及んでいる」と断じた。

     長期体制に伴う腐敗の構造はブラッター会長が17年間君臨する国際サッカー連盟(FIFA)とも共通する。FIFAでは長年、巨額の放映権料などを巡る贈収賄行為が横行し、ブラッター会長自身も不正な金銭授受があったとして8年間の資格停止処分を受けている。

     ディアク前会長は収賄容疑などでフランス司法当局から捜査を受けており、すでにIAAFから永久追放処分を受けたコンサルタントの息子も国際刑事警察機構の国際指名手配を受けている。ディアク親子の行為はスポーツ界のルールを踏みにじったというだけにとどまらず、刑事罰を伴う犯罪行為に相当する。

     陸上界のドーピング違反は後を絶たず、有望な長距離走者を輩出しているケニアなどでも発覚している。IAAFは競技存続の危機に立っているとの認識を持ち、組織のウミを出し切らねばならない。

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