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阪神大震災21年 きめ細かな住宅支援を

 阪神大震災で自宅を失った被災者向けに自治体が民間などから借り上げた復興住宅が昨秋以降、返還期限を順次迎え、住民が退去を求められる事態も起きている。震災から21年がたち、被災者は生活再建を巡る新たな課題に直面している。

     自治体は、転居費用の補助や公営住宅への住み替えあっせんなどを申し出ている。しかし、高齢化が進んだ入居者にとって、住み慣れた生活拠点を離れることへの不安は大きく、転居先で孤立する恐れもある。それぞれの生活の実情に配慮し、きめ細かく対応する必要がある。

     復興住宅は約4万戸用意され、うち約8000戸は都市再生機構(UR)や民間から20年契約で借り上げた。恒久的な住まいとして新たに建てるのと比べ、借り上げ方式は建設費がかからず短期間に大量に供給できる利点がある。兵庫県や神戸市、同県西宮市など6市が導入し、現在約3900世帯が入居している。

     兵庫県と神戸市は財政負担が大きいとして、年齢や介護、障害の有無など条件を設けて継続入居を認め、県は有識者委員会の判定で基準に達していなくても認めることもある。全世帯の継続入居を認める自治体もある。西宮市は住み替え先のあっせんのほか要介護世帯などに猶予期間を設けているが原則は退去だ。自力再建したり転居に応じたりした被災者との公平性を考えたという。

     昨年9月、西宮市がURから借り上げている1棟の返還期限が来た。一部住民が転居に応じず、市は明け渡し訴訟を起こす議案を市議会に出したが、議会は住民との話し合いによる解決を求めている。約2200世帯が入居する神戸市は今月末に期限を迎える3世帯に退去を通知しており応じなければ提訴する方針だ。

     こうした問題が生じた背景には、入居時に期限に関する行政側の説明が不十分だったことがある。また、継続入居に年齢条件がある場合、1歳違うと認められない。機械的な線引きで退去を迫るのは避けたい。

     復興住宅では、住み慣れた地域を離れた被災者の閉じこもりや孤独死が社会問題になった。住み続けたいという高齢者の希望は身勝手ではない。意思の尊重はコミュニティーの維持につながるのではないか。

     東日本大震災では仮設住宅の約半数が自治体の借り上げによる「みなし仮設」だ。入居期間は1年ごとに延長されているが、東京電力福島第1原発事故の自主避難者については来年3月に打ち切られる。恒久住宅の確保は切実な問題となる。

     阪神大震災の住宅再建プロセスは東日本の被災地にとっても重要な教訓だ。長期的視野に立ち被災者が安心して暮らせる支援に生かしたい。

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