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経験不足、運転手に「一般道を走るな」

スキーバスが転落した現場に献花し、手を合わせる人たち=長野県軽井沢町で2016年1月16日午後0時56分、森田剛史撮影

運行会社が指示 理由は「一般道は慣れが必要なので」

 14人が死亡した長野県軽井沢町のスキーツアーバス転落事故で、運行会社「イーエスピー」(東京都羽村市)は、事故当時運転していた土屋広運転手(65)の大型バスの経験不足を懸念し、一般道を走らないよう指示していた。採用後、大型バスに乗車させて研修をしたとも説明しているが、国土交通省は教育体制が十分だったか確認している。

 過去に7〜8年勤務したバス会社によると、土屋運転手は主に車体の長さ9メートルの中型バスを運転していた。事故車両のような全長12メートルの大型バスは数回しか運転しておらず、入社以前はトラック運転手だったという。その後、約5年間勤務した会社でも、小型のマイクロバスを使った近距離送迎を主に担当し、大型バスは運転していなかったとされる。

 イ社によると、昨年12月、冬場にバス運行が増えるスキーツアーに対応するため、土屋運転手を契約社員として採用したが、過去の運転歴は確認しなかった。土屋運転手は「大型も何回も乗ったことがあるから大丈夫だ」と説明したという。

 イ社の運行管理者、荒井強所長(47)は取材に対し、「土屋さんには一般道の運転はさせず、高速道路をやってもらおうとしていた」と話した。理由については「一般道は高速道路に比べて慣れが必要なので」と説明した。

 採用直後は「心配だったので」12メートルの大型バスの研修運転を2回受けさせた。その後、ツアーの営業運転を3回担当し、事故当時は4回目のツアーだった。報酬は長野県での約8時間の休憩も含めて往復2万5000円だったという。

 大型と小、中型バスとの違いについて、大型観光バスの元運転手(49)は「車体が長いので、曲がる時の後輪の扱い方が難しい。完全に覚えて自信がつくまで1年かかった」と話す。

 新たに運転手を採用したバス会社には「初任運転者講習」が義務付けられており、運転手は6時間以上の実技運転を経験したり、点検方法を学んだりする。ただ、経験者が転職してきた場合、退社後3年以内なら講習の義務はない。研修時に12メートルのバスを使う必要もないという。

 国交省の特別監査では、イ社は昨年1月以降、土屋運転手以外のドライバーに対し、国が定める運転手教育を実施していなかったことが判明している。【内橋寿明、武内亮】

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