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イラン制裁解除 中東の安定につなげよ

 中東情勢の大きな転換点である。イランの核開発疑惑に関して科された国連や米国、欧州による主要な制裁が解除され、イランは事実上、国際舞台への復帰を果たした。アラブ諸国やイスラエルはこれに反発しており、制裁解除は「両刃の剣」でもあるが、米欧とイランの歴史的な歩み寄りを中東の安定につなげたい。

     イランの核開発疑惑は2002年に発覚し、国連安保理のほか米国と欧州連合(EU)が独自の制裁を科してきた。しかし昨年7月、安保理常任理事国(米英仏露中)にドイツを加えた6カ国とイランが最終合意に達し、ウラン濃縮に関する種々の制限についてイランの履行が確認されれば制裁を解除することにした。

     16日(日本時間17日)に解除が決まったのは、イラン産原油の取引禁止や金融制裁、核開発関連物資の禁輸などで、凍結されていたイラン産原油の売上金の支払いも始まる。制裁下で生活苦に直面するイランの庶民にとって朗報だ。オバマ米大統領が言うように、核疑惑を外交で解決に導いたことは評価されていい。

     だが、イスラム教シーア派のイランと対立するスンニ派のサウジアラビアは制裁解除を見越したように今月初め、イランとの断交を宣言した。サウジとともに湾岸協力会議(GCC)を構成するペルシャ湾岸のアラブ産油国なども対イラン断交や外交関係の格下げなどで追随した。

     また、イスラエルは何年も前からイランの核関連施設の空爆も辞さない構えを見せていた。これらの国々はイランが核兵器を開発する可能性をなお排除せず、制裁解除を境にむしろ緊張が高まる恐れもある。

     だが、イスラエルはともかく、ペルシャ湾岸で宗派や民族の対立をいつまで続けるのか。イランの革命防衛隊はイラクなどで過激派組織「イスラム国」(IS)と戦い、米・イランが事実上、共闘している。サウジとイランはイエメンで代理戦争を展開中だが、双方の利益にかなう分野で協調を模索してもいいはずだ。

     豊かな石油資源が眠るペルシャ湾岸の安定は世界にとって重要だ。中国の習近平国家主席は今週、サウジ、イランなどを歴訪し中東への関与を強める構えで、イランへの投資や貿易をめぐる米欧、ロシアの動きも活発化しよう。米国はイランの弾道ミサイル開発に関する制裁を新たに科したとはいえ、イランとの国交回復に向けた流れは続きそうだ。

     日本も乗り遅れてはなるまい。米国の強い要請で日本はアザデガン油田の利権を手放し、制裁の動きに同調したが、伝統的に良好なイランとの関係を生かして交易を拡大すべきである。ペルシャ湾岸に協調と安定への新たな地平を開きたい。

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