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ゲノム編集 課題整理し歯止め急げ

 新世代の遺伝子組み換え技術、「ゲノム編集」への関心が高まっている。遺伝子の切り張りはこれまでも広く行われてきたが、従来技術に比べ、ねらい通りに、効率よく、より安価に遺伝子を改変できるのが特徴だ。

     このため、実験動物の遺伝子改変や野菜・家畜の品種改良はもとより、人への応用が加速する可能性が出てきた。そこで問題となるのは、目的がなんであれ、子孫に伝わる人の受精卵や生殖細胞の遺伝子改変が許されるかどうかだ。

     受精卵の遺伝子操作は日本や欧米諸国では一定のルールのもとで禁止されてきた。しかし、新技術にはこれまで以上の潜在力がある。国際的に規制の再検討が必要であり、日本も後手に回らないようにしたい。

     この技術の倫理的課題がクローズアップされたきっかけは、昨春、中国のチームが論文発表した研究だ。人の受精卵で血液疾患の原因遺伝子を正常なものに置き換える基礎研究で、子どもの誕生を目的とするものではなかったが、波紋を広げた。

     こうしたゲノム編集の応用については、遺伝病などの治療につながると期待する声もある。一方で、子どもの目の色や肌の色を選んだり、運動能力を高める遺伝子を導入したりと、望みの子どもをつくる「デザイナーベビー」につながる恐れも否定できない。

     しかも、受精卵の遺伝子を操作すればその影響は次世代の同意を得ないまま子孫に伝わる。将来、人類の遺伝子を変化させてしまうかもしれない。狙った場所とは異なる場所に遺伝子が導入される可能性も残され、安全性への懸念も残る。

     米英中の科学アカデミーは昨年12月、国際会議を開き、人の受精卵や生殖細胞の改変について「安全性や有効性の問題の解決、社会的合意形成などが満たされない限り臨床応用は無責任」とする声明を公表した。一方で、基礎研究は容認している。

     日本では遺伝子治療の行政指針などで受精卵の遺伝子改変の臨床応用を禁じているが法規制はない。基礎研究にも明確なルールがない。このままでは、現実が先行し、規制が後追いになる恐れがある。早急に技術の可能性と倫理的課題を整理し、法規制も視野にルール作りの検討を急ぐ必要がある。

     その際には学会や日本学術会議、政府の生命倫理専門調査会などが連携して議論を進めることが大事だ。この技術と密接に関係する生殖補助医療分野の法規制も改めて考えるべきだろう。

     農業・畜産分野でも品種改良への応用研究が進むが、従来型の遺伝子組み換え作物と安全面などで違いがあるか。改めて検討が必要だ。

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