メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

高齢者の預託金 悪用防止の対策を急げ

 1人暮らしの高齢者にアパート入居時の身元保証や死後の葬儀・納骨などを行う公益法人「日本ライフ協会」が、高齢者からの預託金約2・7億円を職員報酬などに流用していたことが明らかになった。

     同種の事業はNPOや民間企業なども参入して全国で急速に広まっており、不正は氷山の一角の可能性もある。国は実態把握と悪用防止の対策を急ぐべきだ。

     公益法人は、内閣府の公益認定等委員会などが公益認定法に基づいて審査して認められる。日本ライフ協会は預託金について弁護士などの第三者が預かる「3者契約」をすることにして同委員会の審査を通った。ところが、実際には弁護士は関与せず、協会がお金を管理する「2者契約」を行っており、運営資金に困って預託金を流用したという。

     公益認定等委員会は日本ライフ協会に対して是正勧告を行い、同協会の全理事8人が引責辞任した。だが、流用した預託金の不足額の回復はめどが立っていない。公益法人として税制面で優遇されながら、制度を悪用し高齢者の信頼を裏切った協会の責任は極めて重い。

     公益法人は事業報告を監督庁に毎年提出し、3年に1度立ち入り調査を受ける。内閣府所管の公益法人は2014年末現在2334あるが、是正勧告は08年以降今回で6件にとどまる。民間の自律的な公益活動を推進するため、行政の過度な規制はなくすべきだが、身寄りがなく判断能力にハンディのある高齢者を守るためには、むしろ公的チェックを厳しくする必要があるのではないか。

     独居の高齢者は急増しており、10年に498万人だったのが35年には762万人になる見通しだ。特に都市部で急増ぶりが著しい。アパートだけでなく、病院や介護施設は入院や入所の時に身元保証人を求める。法的な根拠はないにもかかわらず、身寄りがないと病院や施設に入れないことが、公益法人などによる高齢者支援事業の拡大の背景にある。

     高齢者の権利を守る制度としては成年後見があるが、入院などの「医療同意」ができない上、葬儀などの事務や本人宛ての郵便物の開封もできない。また、後見人に対して月に2万〜3万円程度の報酬を払わなければならず、後見人による財産搾取が多発していることもあって、利用者数は最近頭打ちになっている。

     家庭裁判所の監督下にある成年後見制度でさえ不正が横行しているのだ。チェックの甘い公益法人やNPOが高齢者の財産を預かっている実態をもっと厳しく見る必要がある。心身の機能が衰えて自分を守ることができない高齢者のために、国は不正防止に全力を挙げるべきだ。

    毎日新聞のアカウント

    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. 成宮寛貴さん引退 「友人に裏切られた」コメント全文
    2. 韓国大統領 髪セット1時間半 セウォル号沈没事故当日に
    3. 冬のボーナス 国家公務員に支給 平均70万4800円
    4. 韓国 崔被告のめいを起訴 職権乱用や強要などの罪で
    5. 福岡 工事作業員に手を振る園児 お礼にサプライズ

    編集部のオススメ記事

    のマークについて

    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです

    [PR]