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「露政府が関与」…英調査委

 【ロンドン矢野純一】元ロシア連邦保安庁(FSB)中佐で英国に亡命していたアレクサンドル・リトビネンコ氏(当時43歳)が2006年にロンドンで毒を盛られ暗殺された事件で、英国の独立調査委員会(公聴会)は21日、調査報告書を公表した。報告書はロシア政府の関与を指摘したうえで、プーチン大統領についても「(暗殺を)承認した可能性がある」とした。英国が対露制裁などに踏み切れば、ウクライナ問題で悪化していた英露関係はさらに悪化する可能性がある。

     調査委は真相解明を求める同氏の妻、マリーナさんの要求に応じて内務省が設置を決定。昨年1月から関係者の聞き取りを始めた。

     報告書は、07年のロンドン警視庁の捜査結果と同様、事件後ロシアに帰国した旧ソ連の国家保安委員会(KGB)元職員、アンドレイ・ルゴボイ氏(49)ら2人が、06年11月1日、ロンドン市内のホテルでリトビネンコ氏に猛毒の放射性物質ポロニウムを飲ませ、殺害したとした。

     焦点のロシア政府やプーチン大統領の関与について「2人は(KGBを引き継いだ)FSBの指示に基づいて実行した可能性が極めて高く、当時のパトルシェフFSB長官も認識していた」とした。さらに「FSB長官と共にプーチン大統領によっても承認された可能性が高い」と結論づけた。

     ポロニウムも「ロシアの政府機関で製造された可能性が高い」と、ロシア政府の関与を明確に指摘した。

     報告書は暗殺の動機について「FSBの腐敗を告発するなど、リトビネンコ氏はロシアに多くの敵を作っていた」とした。同氏が内部告発をした1998年、FSBの長官を務めていたのがプーチン氏だった。

     記者会見したマリーナさんは、報告書がプーチン大統領の関与についても言及したことについて「とてもうれしい」と述べた。そして「プーチン氏や関与した人物の渡航禁止措置などロシアに対する制裁を求める」とした。

    放射性物質飲ませ殺害…事件の概要

     ロシア連邦保安庁(FSB)に所属していたアレクサンドル・リトビネンコ氏(当時43歳)は2006年に猛毒の放射性物質ポロニウムを飲まされ殺害された。

     旧ソ連の情報機関、国家保安委員会(KGB)時代から機関員だったリトビネンコ氏は、後継組織FSBの腐敗を告発し、00年に英国に政治亡命した。

     だが06年11月、ロンドン市内のホテルでKGB元職員のアンドレイ・ルゴボイ氏らと会ってお茶を飲んだ後、体調を崩し3週間後に死亡した。死の直前、尿からポロニウムが検出された。

     リトビネンコ氏は03年ごろ、英対外情報機関「MI6」からの要請でスペインに渡った。ロシアマフィアの資金洗浄を調べていたとされる。死亡する1カ月前に家族とともに英国籍を取得していた。

     ロンドン警視庁は、ロシアに帰国したルゴボイ氏ら2人による暗殺と断定し、身柄の引き渡しを要求したが、ロシアは関与を強く否定して要求を拒否。当時、双方が外交官を追放するなど両国関係は冷え込み「新たな冷戦の始まり」と報じられた。

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