メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

本物の「へし切長谷部」に会いたい…その場所は

スマホやカメラを手に刀に見入る女性たち=福岡市早良区の市博物館で2016年1月20日、山下恭二撮影

全国から若い女性が殺到、福岡市博物館に

 福岡市博物館(早良区)が所蔵し、今月31日まで期間限定で公開している福岡藩主・黒田官兵衛ゆかりの国宝の刀「圧切長谷部(へしきりはせべ)」を見るために、全国から「刀剣女子」と呼ばれる若い女性が殺到している。実在の名刀をイメージした美形の男性キャラクターが戦う人気のオンラインゲームに登場する、忠誠心の強い戦士「へし切長谷部」の本物に会うのが目的だ。

 平日の午後、企画展示室に飾られた圧切長谷部の前には、携帯カメラを手にした若い女性たちが群がっていた。「やっと会えました。凜(りん)とした姿で俺を見てくれ、と言っているようでした」。落合光さん(24)は、長谷部を見るためだけに東京から日帰りで訪れたという。

 圧切長谷部は、南北朝時代の刀工・長谷部国重が作り、1575年、官兵衛が織田信長に毛利攻めを進言した際、信長から与えられたとされる。以来、黒田家の家宝として受け継がれ、1953年に国宝に指定された。

 市博物館は毎年1月に1カ月限定で公開しているが、見に来るのはほとんどが男性の刀剣マニアだったという。ところが「今年は9割以上が20〜30代の女性。客層の変化に驚いている」と学芸課の堀本一繁さん(48)。5日の公開初日から20日までで、昨年の期間中の見学者数(約6000人)を大きく上回る約1万7000人が見に来た。約2000人が訪れた日もあり、刀の前には4時間待ちの長蛇の列ができた。

 人気の兆しは、昨年1月の公開時終盤から見られたという。突然女性が目立つようになったことを不思議に思った堀本さんが調べると、刀が美男子の戦士となり戦う女性向けのオンラインゲーム「刀剣乱舞(とうけんらんぶ)−ONLINE−」の配信が始まったばかりだった。

 ゲームの中で「へし切長谷部」は主人(ゲームのユーザー)に忠実で、戦闘になると荒々しいキャラクターとして描かれている。昨年の公開終了時には、次の公開時期の問い合わせが殺到した。

 今年から企画展示室で写真撮影を解禁しており、圧切長谷部の写真がインターネット上で拡散したことも人気を後押しした。堀本さんは「ネット上での写真のやり取りや、ゲームだけでつながっている人同士が待ち合わせて入館するケースもあるようだ」と話す。

 女性向けゲームなどについて研究する中部大人文学部コミュニケーション学科の尾鼻崇助教(37)は「従来のキャラクターはゲームの中でしか存在しないが、実在する刀剣がモチーフなので本来の姿に会えるという感覚を引き起こし、刀剣自体や歴史的背景にも興味が広がり、刀剣女子の現象につながっている」と分析する。

 同博物館は31日の公開終了後、2月2日からは同じく黒田家ゆかりの国宝の太刀で、ファンの間でキャラクター化を期待する声もある「日光一文字」を公開する。【末永麻裕】

刀剣乱舞−ONLINE−

 「和泉守兼定」や「堀川国広」など、実在の名刀が戦士の姿になった「刀剣男士」を強化し、合戦場で敵を討伐するオンライン上のシミュレーションゲーム。通称「とうらぶ」。2015年1月14日に配信が始まり、ユーザーは150万人以上。10〜20代の女性を中心に、アジア圏などでも人気がある。圧切長谷部に限らず、ゲームに登場する刀を展示している各地の博物館などにファンが殺到している。

毎日新聞のアカウント

話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 15歳のニュース 成人年齢引き下げ 喜んでいいの?だめなの?
  2. 男性遺体 頭部などない遺体発見 千葉・銚子漁港
  3. ロッテ会長 容疑否認 逮捕状発付審査未明まで
  4. 小池知事所信表明 豊洲問題「信頼失った」 徹底調査意向
  5. 蓮舫代表 国会論戦を刷新 「提案」戦略、不発

編集部のオススメ記事

のマークについて

毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです

[PR]