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「採択で有利にするため」…営業担当が証言

来年度から使用される中学校教科書採択の流れ

 教科書会社が文部科学省の規則に反し検定中の教科書を教員らに見せていた問題で、最大手の「東京書籍」や「教育出版」などが22日、相次いで記者会見を開いた。各社の幹部は「良い教科書や教員用の指導書を作るのが目的だった」などと述べ、採択を狙った営業活動ではないと釈明した。しかし、ある教科書会社の男性は取材に対し「検定中の教科書を見せるのは、採択で有利になることを期待するからに決まっている」と証言する。

 この男性は不正行為が明らかになった東京都内の教科書会社の社員。今月と昨年11月の2回、約4時間にわたり取材に応じ、営業現場の実態を説明した。

 小中学校の教科書は約1年間にわたり文科省の検定作業が行われ、翌年7〜8月、市町村の教育委員会が検定に合格した教科書の中から最も高く評価したものを採択する。その際、教員らの意見を参考にするため「調査員」などに任命して意見を述べさせる。

 男性社員によると、調査員などが決まるのは採択の年の4月以降。しかし日常業務で忙しい教員は教科書に目を通す時間があまりないため、「前年の検定中の段階から見てもらい、会社側のアピールポイントを訴える必要がある」という。

 採択にかかわる首都圏のベテラン教員も「仕事の合間にじっくり読み比べるのは難しい」と打ち明ける。教科書会社の営業マンにとって、採択にかかわることになる教員を事前に探るのも大きなポイントだ。

 「教科ごとの教員らによる研究会に顔を出したり、授業の休み時間や放課後に学校を訪ねたりして情報を取る。こうして探し出した教員や校長らの自宅を中元や歳暮持参で訪ね、親しい関係を築く」と前述の社員は言う。

 教科書採択に詳しい九州大の八尾坂修教授(教育行政学)は「採択は4年に1度しかなく、何万部も増減があるので競争が厳しい。会社のトップがルールを守ると決断し、文科省も処分を厳しくすべきだ」と指摘した。【高木香奈、佐々木洋】

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