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革命5年 強権体制への回帰強まる

エジプトの首都カイロ中心部のタハリール広場で警戒に当たる治安部隊の要員。シシ政権はデモを容認しない方針で、人影もまばらだった=2016年1月25日午前10時37分、秋山信一撮影

 【カイロ秋山信一】エジプトは25日、民主化要求運動「アラブの春」による革命から5年の「革命記念日」を迎えた。革命前の強権体制への回帰傾向を強めるシシ政権は、抗議デモが起きるのを警戒して、政権に批判的な若者らの取り締まりを強化。自由や汚職根絶を求めた革命時の熱気は消え、国民の多くは生活への不満を抱えながら息を潜めて生活している。

     2011年にムバラク政権に抗議するデモ隊が集ったカイロ中心部のタハリール広場は25日、自動小銃を持つ治安部隊の要員や装甲車が周囲を固めていた。20人程度がシシ政権を支持するデモを行っていたが、広場下の地下鉄の駅は封鎖され、通行人はまばらだった。「(シシ政権下で)政情は安定したが、失業率は高いままだし、ビジネスに活気がない。自由はあまりないが、デモをしても混乱するだけだ」。近くの電器店に勤めるムハンマド・ナビブさん(34)は現状をそう語った。

     革命時に大規模なデモが起きたことから、1月25日は「革命記念日」として祝日になった。毎年、記念デモが行われてきたが、今年は様相が異なる。

     「新たな革命を呼びかける動きがあると聞くが、なぜだ。なぜ(国を)破壊したいのか」。昨年12月22日、国民向けにテレビ演説したシシ大統領はデモを「破壊行為」と位置付け、非難した。革命で打倒した強権支配の復活を懸念する反政権派が、革命記念日に合わせてデモを展開するのを警戒した発言だった。

     治安当局は直後から反政権派の弾圧を強化。シシ氏が主導した13年7月のクーデターで失脚したモルシ元大統領の出身母体・イスラム組織ムスリム同胞団だけでなく、革命を主導した「4月6日運動」など世俗リベラル派の若者グループも標的になった。

     AP通信によると、治安当局は1月中旬以降、カイロ中心部の5000軒以上で捜索や尋問を実施。4月6日運動は抗議デモを取りやめ、25日に黒い服を着ることで抗議の意を示すよう呼びかけた。同胞団は24日、カイロ郊外などでデモを実施したが、小規模にとどまった模様だ。

     エジプトでは革命後、政情不安から治安や経済の混乱が続く。14年5月の大統領選で95%以上の票を得たシシ氏は、生活改善まで「2年間の忍耐」を求めたが、就任から1年半たった今も年率10%以上の物価上昇や若者の失業問題は改善の道筋がつかず、過激派組織「イスラム国」(IS)分派などによるテロも起きている。

     カイロ大学のハッサン・ナファ教授(政治学)は「シシ氏への期待感は残っているが、支持率は徐々に下がっている。革命の目的だった自由や生活の改善は実現しておらず、不満や怒りはたまっている」と指摘した。

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