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大国主導、道筋見えず

シリア和平協議を巡る相関図

 【ジュネーブ秋山信一】シリア内戦の終結を目指し、国連が仲介する和平協議が29日、スイスのジュネーブで始まった。5年近くに及ぶ戦闘で25万人以上が犠牲になる中、国連は停戦の実現や過激派組織「イスラム国」(IS)対策を優先議題に挙げている。しかし、ロシアの支援で息を吹き返したアサド政権と、IS対策よりも政権打倒を優先させたい反体制派の対立は根深く、和平への道筋は見通せない。反体制派主要組織のボイコット表明で、協議は出だしからつまずいた。主要組織は結局、交渉参加に転じたが、主要議題などを巡る溝は埋まっていない。

反体制派、参加に転じたが

 29日午後5時、国連欧州本部にアサド政権の交渉団を乗せた車列が入った。ジャファリ国連大使は国連職員と笑顔で握手を交わす余裕をみせ、交渉室へ。仲介役のデミストゥーラ国連特使と約2時間半会談した。同氏によると、政権側はテロ組織のリスト作成を要求。和平協議から除外されたISだけでなく、反体制派交渉団に加わる有力武装組織「イスラム軍」なども「テロリストだ」と主張し、強気の姿勢を崩していない。

 今回の和平協議の構想は、ロシア主導で進んだ。露軍は昨年9月、政権支援のために空爆を開始し、戦況を政権側に有利に転換させた。反体制派を支援し、アサド氏の退陣を求めてきた米欧もIS対策にシフト。ロシアに同調する形で昨年11月、「6カ月以内の新たな統治機構設立、新憲法起草、18カ月以内の選挙実施」などの和平案で合意した。和平案にアサド大統領の処遇は盛り込まれなかった。

 こうした大国主導の和平構想に反体制派は不信感を抱き、協議参加を渋る一因となった。国際社会には政権と反体制派を和解させ、対ISで共闘させたい思惑があるが、政権打倒を優先する反体制派の戦略とは矛盾する。「イスラム軍」幹部のアッルーシュ氏は「米国は政権打倒を真剣に考えていない」と訴えた。

 シリア情勢で存在感を増すロシアは、和平協議の枠組みにも影響力を及ぼす。反体制派の筆頭格と目される武装組織「アフラル・シャム」について、国際テロ組織アルカイダと関係があるとして交渉に加わることを拒否する一方、シリア北部で一大勢力を誇るクルド人組織を交渉に加えるよう要求。国内に多数のクルド人を抱え、分離独立の動きを警戒するトルコの猛反発を招いた。昨年11月にシリア国境付近でトルコ軍機に自軍機を撃墜されたロシアの意趣返しの意味合いもあるが、同時に、クルド人組織を支援する米国とトルコとの間にくさびを打ち込む狙いも見え隠れしている。

 今回の協議では当面、デミストゥーラ氏が当事者間を往復する間接交渉の形をとる。第1段階に2〜3週間、全体で6カ月を要するとの見方だ。シリア情勢に詳しいヨルダン大学戦略研究所のムーサ・シュテイウィー所長は「対話のテーブルに着いたことは評価すべきだが、相互不信が根深い。進展が期待できるのは、人道支援の拡充くらいだ」と指摘している。

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