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視界良好?…国・自治体始動、世論の後押し期待

無電柱化や景観整備工事を終えた「タワービュー通り」の一区画(左)と、電線が交差するタワービュー通りから一本東を走る道路(右)=東京都墨田区で、中島和哉撮影

 自民党が「無電柱化推進法案」の国会提出を検討している。空を横切る電線は景観を損ない、地震で電柱が倒壊して救助の妨げになる危険もある。ガスや水道は地中を通るのに、なぜ電柱は立ち続けているのか。【中島和哉】

景観損ない 地震倒壊懸念

 東京都墨田区のJR錦糸町駅から北西に徒歩3分。北に延びる路地の正面に東京スカイツリーがそびえる。墨田区などが2008年から無電柱化を進める「タワービュー通り」で約1.2キロの直線道路に電柱や電線はほとんどない。一方、約50メートル東に平行する裏通りは電線が視界を妨げ、雑然とした印象が否めない。

 国内の電柱は約3500万本で、今でも年7万本ペースで増えている。ほぼ100%地中化されたロンドンやパリなどに比べ日本は整備が遅れ、地中化が最も早い東京23区でも約7%(道路延長ベース)どまり。1995年の阪神大震災では約8100本が倒れて救助や復旧の妨げとなったが、神戸市ですら2%強だ。

 自民党の無電柱化推進法案は電力会社など事業者に「電柱・電線の設置の抑制、撤去」を義務づける内容で、成立すれば、国や自治体が電柱を規制する根拠となる。旗振り役の小池百合子元環境相は「電柱増加にピリオドを打つ」と意気込む。

 戦前からガス・水道は地中埋設だったが、電気は第二次大戦後に早期復旧が求められ、電線設置が進んだ。70年代以降、景観面などから地中化の必要性が指摘されたが、「日本では電柱のない道路を『公共財』と見ない意識が強かった」(松原隆一郎東大大学院教授)ため、電線設置は制限されなかった。世界の多くの都市では家庭用エネルギーとして競合する電気とガスの公平性を確保するため、当初から送電も地中化が前提だった。

 国内では、埼玉県川越市が「小江戸」と呼ばれる街並みを守るため、無電柱化を進めている。また、20年の東京五輪・パラリンピックに向け観光客誘致に期待が高まる中、全国200人以上の首長で作る「無電柱化を推進する市区町村長の会」が15年10月に発足。地中化すれば歩道のバリアフリーも改善するため、取り組みが動き始めた。

 地中化の費用は国と地方自治体、事業者が分担するが、電気事業連合会によると、電力会社負担分だけで道路1キロ当たり約2億円と電柱の約10倍もかかる。夜間工事に住民の理解を得るのも難題だ。

 小池氏らは1日昼、市区町村長の会のメンバーと共に安倍晋三首相を首相官邸に訪ね、推進法案への支援と予算の確保を要請。出席者によると、首相は「国民誰もが賛成する話だ。東京五輪に向けて頑張って進めましょう」と語った。

 国土交通省が、災害時の避難や物資輸送の動脈となる緊急輸送道路に関しては電柱新設を認めない通達を昨年12月25日に出すなど、国も無電柱化に重い腰を上げつつある。小池氏は「『うちの前の電柱を早く撤去して』という国民意識の変化が起きれば、スピード感も出てくる」と、世論の後押しに期待している。

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